物価17%上昇と実感 日銀調査にみる生活の実態

2026年04月21日 06:53

日銀3

物価「17%上昇」の実感と家計の苦境 日銀調査が示す名目改善と実質の乖離

今回のニュースのポイント

物価上昇の実感は平均「+17.3%」:日本銀行が公表した最新の生活意識アンケート調査(2026年3月調査)で、現在の物価が1年前と比べて何%変化したかの実感は平均値で+17.3%(前回+17.8%)、中央値で+10.0%となりました。

95.0%が物価上昇を認識、8割超が「困った」:物価が「上がった」と回答した人は95.0%に達し、そのうち85.1%が「どちらかと言えば、困ったことだ」と答えています。

支出DIは調査開始以来のピークに:1年前と比べて世帯の支出が「増えた」との回答は60.9%に上り、支出DIは+51.6と、比較可能な2006年以降で最高水準となりました。

景況感・収入DIの改善と生活の厳しさが乖離:現在の景況感DIや世帯収入DI(▲6.5)は過去数年と比べ改善傾向にある一方で、物価高により生活の「ゆとりがなくなってきた」とする回答は53.4%に達しています。

 日本銀行が公表した最新の「生活意識に関するアンケート調査(2026年3月調査)」で、物価上昇が家計に与える影響の大きさが改めて浮き彫りとなりました。政府の統計とは異なる強い実感として、生活者の切実な「物価実感」が示されています

 調査結果によると、現在の物価が1年前と比べて何%変化したかという問いに対し、回答の平均値は+17.3%に達しました。実感を伴う回答として、95.0%の人が物価上昇を認識しており、そのうち約85%が物価上昇を「困ったこと」と受け止めています。物価高が家計にとって極めて重いマイナス要因となっている現状が鮮明です。
 背景には、エネルギー価格や食品価格の上昇に加え、歴史的な円安の継続があります。家計が「1年前と比べて支出を増やした項目(複数回答)」では、「食料品」が62.7%と突出しており、「日用品」の40.2% 、「保健医療サービス」の15.7%が続いています。生きるために不可欠な必需品のコストが、家計を圧迫している構図です。

 今回の調査では、名目上の指標に改善が見られる一方で、実質的な生活のゆとりは乏しいままという「乖離」が続いています。世帯収入DI(「増えた」マイナス「減った」)が▲6.5と、2006年以降で最もマイナス幅が小さくなるなど、賃上げ等の効果は一定程度見えています。しかし、それ以上に「支出が増えた」と答える人が60.9%に達し、現在の支出DIは+51.6と過去最高を記録しました 。収入が多少増えても、それ以上に生活コストが膨れ上がる構造が、生活者の53.4%による「ゆとりがなくなった」という実感につながっています。

 生活への影響は、選択的支出の抑制として現れています。支出を「減らした項目」では、「外食(36.3%)」、「衣服・履物(33.1%)」、「旅行(27.6%)」 が上位を占めました。必需品に資金を回すため、生活の質や楽しみを削らざるを得ない実態がうかがえます。

 今後の焦点は、根強い物価上昇期待です。1年後の物価についても、平均+11.4%の上昇を見込む回答となっており、人々の頭の中では「毎年10%前後の物価高が続く」というイメージが固定化しつつあります。今後1年間の支出計画でも「減らす(37.0%)」という回答が「増やす(11.5%)」の3倍を超えており、消費の大幅な回復は当面期待しにくい状況が続くとみられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)