今回のニュースのポイント
外国人向け在留資格「経営・管理」が大幅厳格化:新規申請時の資本金要件が、従来の500万円から原則3,000万円へと大幅に引き上げられました。
日本語能力や雇用義務などが必須に:資本金に加え、一定水準の日本語能力(N2相当)や3年以上の経営経験、日本人等の常勤職員の雇用といった要件が、新規申請では原則必須となりました。
既存企業の約45%が影響を懸念:東京商工リサーチの調査によると、外国人経営企業の半数近くが「影響あり」と回答し、制度の激変に揺れています。
5.3%の企業が「廃業を検討」:小規模な飲食・サービス業を中心に、新基準を満たせないことによる事業継続の断念が現実味を帯びています。
日本で事業を営む外国人経営者が、かつてない岐路に立たされています。2025年10月から段階的に導入されている在留資格「経営・管理」の厳格化により、起業のハードルが大幅に引き上げられたからです。今回の改正は、単なる条件変更にとどまらず、日本における「外国人起業」のあり方を根底から変える動きといえます。
改正の柱は、投資規模の引き上げです。これまで「500万円以上の資本金」であれば認められていた要件が、原則として「3,000万円以上」へと一気に6倍に引き上げられました。さらに、日本人等の常勤職員1人以上の雇用義務や、3年以上の経営・管理経験(または修士以上の学歴)、一定水準の日本語能力も求められるようになり、複数の条件が同時に強化されています。
ここで大きな違和感が生じます。政府は一方で「スタートアップ先進国」を掲げ、外国人起業家の誘致を推進しているはずです。それにもかかわらず、なぜ今、真逆とも思える規制強化に動くのでしょうか。背景には、実態のない「ペーパーカンパニー」や名義貸しといった不正案件の急増があります。入管当局は、500万円という他国に比べて低いハードルを悪用した脱法的な滞在を排除し、事業の「質」と「継続性」を担保する方向に舵を切ったのです。また、政府内では、諸外国と比べて低かったハードルを引き上げ、「国際基準に近づける」という発想も背景にあるとされています。
しかし、このロジックは日本の起業実態との間に深刻なズレを生んでいます。日本の中小企業の多くは資本金数百万円からスタートする小規模なものであり、3,000万円という要件は、一般的な外国人起業の裾野を大きく削り取る数字です。なお、現在の在留資格保持者については2028年10月までの猶予期間が設けられており、更新時に直ちに全ての企業が新基準を満たす必要はないものの、その期限を見据えた対応が迫られることになります。
東京商工リサーチのアンケートによれば、外国人経営企業の約45.2%が今回の厳格化で「何らかの影響を受ける」と回答しています。特に資本集約度の低い飲食業や小売・サービス業への影響は甚大で、回答企業の5.3%が「廃業を検討している」という注目されるデータも出ています。増資が困難な小規模企業にとって、新ルールは事業継続を阻む「壁」となりつつあります。
今回の政策の本質は、参入の「量」よりも「質」を重視し、日本経済に確実なインパクトを与える経営者のみを選別する姿勢にあります。しかし、外国人による起業件数や在留者数が増加するなかで、起業の窓口を極端に狭めることは、長期的な経済のダイナミズムを損なうリスクも孕んでいます。
今後、外国人による新規起業数がどう推移するのか、さらに中小企業の構造がどう再編されるのか。質を重視する厳格化が、外国人起業の裾野を狭める結果に終わらないか、その影響を慎重に注視する必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













