九州電力、純利益1545億円 原発とICTが支える「複合インフラ戦略」

2026年05月10日 11:52

今回のニュースのポイント

九州電力の2026年3月期決算は、親会社株主に帰属する当期純利益が1,545億円と前期比20.0%増の大幅増益となりました。燃料価格の下落や、川内・玄海原発の安定稼働(利用率82.3%)が収益を大きく押し上げました。九州での半導体工場やデータセンターの集積等に伴う電力需要の増加を見据え、電力・通信・都市開発を統合した複合インフラ戦略を加速させています。来期は原油高等の慎重な前提から減益を予想していますが、配当は50円を維持する方針です。

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 九州電力が発表した2026年3月期決算(日本基準)は、燃料市況の好転と電源構成の強みを活かし、高い利益成長を実現する内容となりました。当期の親会社株主に帰属する当期純利益は1,545億円(前期比20.0%増)に達しました。

 増益の主因は、国内電気事業における燃料費の減少です。燃料価格の下落に加え、原子力発電所の設備利用率が82.3%と高水準を維持し、燃料費負担の小さい安定電源として収益を下支えしました。売上高は小売販売電力量の減少などにより2兆2,472億円(前期比4.7%減)と減収になりましたが、営業利益は2,248億円(同12.7%増)を確保しました。営業利益率は約10.0%に達しています。

 注目すべきは、多角化による事業ポートフォリオの広がりです。データセンター事業や情報システム開発を担う「ICTサービス事業」は売上高1,520億円(前期比10.3%増)と伸長しました。さらに、不動産開発などを進める都市開発事業の経常利益も50.0%増の51億円となるなど、収益力が向上しています。これに発電・販売事業やガス・再エネ等を展開する「その他エネルギーサービス事業」の収益も加わり、複合インフラ企業としての収益基盤の多角化が進んでいます 。

 一方、次期(2027年3月期)については、原油価格90ドル・為替160円という慎重な前提を置き、純利益1,300億円(前期比15.9%減)の減益を予想しています。次期は小売販売電力量671億kWh(前期比15億kWh減)、原子力送電端発電量295億kWh(利用率84.7%)を前提としており、燃料費調整の期ずれが差損に転じる影響等を織り込んでいます。

 財務面では、自己資本比率が19.9%(前期末比2.6ポイント増)に向上し、有利子負債も減少するなど着実に改善が進んでいます。普通株の年間配当は、前期と同水準の50円(中間25円・期末25円)を維持する方針です。九州では半導体関連の工場集積やデータセンター新設が相次いでおり、同社は複合インフラの強みを活かし、半導体・データ産業基盤を担う戦略を進める方針です。 (編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)