自殺者15年ぶりに3万人を下回るも、増え続ける若者の自殺

2013年03月07日 08:41

昨年の自殺者数は2万7766人で、15年ぶりに3万人を下回った。自殺者数は98年に初めて3万人を超えてから高止まりの状態が続いていたが、2006年に「自殺対策基本法」が制定されたことをきっかけに官民一体となって対策が進み、少しずつ減少。昨年にはついに3万人を切るまでになった。

 とはいえ、若者の自殺率だけは増え続けている。平成24年版自殺対策白書 によると、98年を100とした自殺死亡率では、20代と30代だけが右肩上がりで上昇。40代以上は同じか低下傾向にあるのに対して、若い世代の自殺率は増え続けている。20代男性は98年と比べて20%以上、20代女性は40%も増加した。30代男性は2003年にぐっと上昇し、そのまま高止まりしている。女性は20代~40代で著しく増えている。

 若者の死で最も多いのは自殺だ。男性では20~44歳、女性ではさらに若い15~34歳で死因の第1位が自殺となっている。先進7ヵ国で、若年層の死因第1位が自殺なのは日本のみである。

 若者によくみられる自殺未遂行為として、リストカットや薬の大量服用なども問題となっている。20代、30代で自殺した女性の45%以上が自殺未遂歴「あり」となっており、他の世代と比べて突出して高い。自殺未遂は明確なサインであり、食い止められた死の多さを物語る。社会に出る直前で命を立つ「就活自殺」も増えている。2011年には「学生・生徒等」の自殺者が1029人となり、初めて1千人を上回った。子どもの総数は減っているにもかかわらず、学生・生徒の自殺数が増えてしまうという、憂慮すべき事態となっている。

 内閣府による「お父さん、眠れてる?」キャンペーンに象徴されるように、「働き盛りの中高年男性による自殺」は大きな問題となっている。だがこの世代の自殺率は以前より減少しており、50代の自殺率はピーク時の75%まで減った。だが一方で90年代以降、自ら死を選ぶ若者がじりじりと増えているという深刻な問題を忘れてはならない。