決済サービスの責任は誰が負うのか 専門調査会で制度再設計の議論進む

2026年07月14日 06:37

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クレジットカードやコード決済、後払い決済(BNPL)などキャッシュレス決済の普及が進む中、消費者委員会の専門調査会では、トラブル発生時の責任の所在や加盟店管理など、決済サービス全体の制度のあり方について議論が進められている。(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

消費者委員会の専門調査会では、キャッシュレス決済の普及を踏まえ、決済サービス全体の制度のあり方について議論が進められています。委員からは、後払い決済(BNPL)やキャリア決済を含めた横断的な制度設計や、加盟店管理、苦情対応、返金などに関する責任の明確化を求める意見が相次ぎました。現時点では制度改正が決定したものではありませんが、キャッシュレス時代に対応した新たなルール作りへ向けた方向性が示され始めています。

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 クレジットカードやコード決済、後払い決済(BNPL)、通信料金と合算して支払うキャリア決済など、デジタル化の進展に伴ってキャッシュレス決済の選択肢は急速に多様化しています。日々の買い物やインターネット上での取引において利便性が高まる一方、消費者が意図しない定期購入トラブルや詐欺的取引に直面した際、決済に関与する事業者が多層化しているがゆえに「最終的に誰がどのような責任を負うのか」が分かりにくくなっているという課題が指摘されています。消費者庁の消費者委員会が設置した専門調査会では、こうした実態を受け、決済制度全体の見直しを視野に入れた議論が進められています。

 従来の日本の決済法制は、クレジットカードを対象とする割賦販売法や、電子マネーや資金移動業を規制する資金決済法、あるいは貸金業法といったように、個別の「業態別」に縦割りで構築されてきた歴史があります。しかし、スマートフォンを介して決済を行う利用者から見れば共通する場面も少なくありません。業態ごとに規制の強弱や消費者保護の範囲が異なる現在の制度は、実態を伴うデジタル決済の急速な進化との間で乖離が生じており、これが制度上の課題として挙げられています。

 7月に開催された専門調査会の資料や提出された意見書によると、参画する複数の委員から、現行制度の枠組みを越えた横断的な規律の必要性を指摘する声が上がっています。具体的には、消費者トラブルへの対応が議論されている後払い決済や、生活基盤である通信契約と結びついたキャリア決済に対しても、クレジットカード並みの加盟店調査や過剰与信の防止、苦情対応体制の整備を求める方向性が示されています。また、事業者間での情報連携や返金対応のルールを明確化し、不適切な仲介事業者を排除するために登録・届出制の適用範囲を機能に着目して捉え直すべきだとの具体的な意見も提出されています。

 ここでの議論の焦点は、新しい決済テクノロジーの是非ではなく、トラブルが起きた際の「責任の所在」をどう整理するかという点にあります。これまでの多層的な決済ネットワーク体系では、消費者が解約や返金を求めても、決済代行業者やカード会社、販売業者の間で窓口が転々とし、最終的な責任主体が曖昧になるケースが見られました。利用者にとって重要なのは決済手段の違いではなく、トラブルが起きた際に誰が説明し、誰が対応し、誰が責任を負うのかという点です。専門調査会では、こうした実態に制度を合わせる方向で議論が進められています。専門調査会では、分業化した決済サービスに応じた責任のあり方を整理する議論が進められています。

 委員から示された方向性の一つが、従来の「事業者ごと」の業態別規制から、実際の支払機能や苦情対応、加盟店管理、返金処理といった「機能別」の横断的規律への転換です。支払いを後日に繰り延べるという共通の機能に着目し、一律の消費者保護水準を確保しようとするこのアプローチは、今後のルール作りの参考として議論されています。事業者側にとっては実務上の負担や登録コストへの配慮が課題となるものの、問題のある加盟店を決済網から実効的に排除するためには、機能単位での網羅的な責任割り当てが必要だとの指摘があります。

 ただし、今回の専門調査会で示された資料や意見は、あくまで現時点での論点整理や各委員の提言という位置づけであり、具体的な法改正や新法の制定が最終決定されたわけではありません。今後は、提示された論点を踏まえてさらに意見集約が行われ、報告書の取りまとめへと向かう見通しです。政府や関係省庁がこの提言をどのように反映し、国会での法制化へとつなげていくのか、制度の実効性を担保する民事上の救済のあり方も含めて、今後の進捗を慎重に見守る必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)