日銀、7月会合で1.25%利上げ案 8対1で据え置き、物価は「上振れリスク大」

2026年09月28日 10:44

日銀1

日本銀行は9月28日、7月30、31日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を公表した。7月会合では政策金利を1.0%程度に据え置く一方、高田創審議委員が1.25%程度への引き上げを提案していた。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

日本銀行は9月28日、7月30、31日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を公表しました。同会合では、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度に据え置く方針を8対1の賛成多数で決定していました。審議では高田創審議委員が1.25%程度への引き上げを提案したものの、反対多数で否決されました。一方、委員会内では基調的な物価上昇率が2%に近づく中、情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針そのものは共有されていたことが示されました。

本文
 日本銀行は9月28日、2026年7月30、31日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を公表しました。同会合において日銀は、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移させる金融市場調節方針の維持を、8対1の賛成多数で決定していました。9月18日の会合において実際に政策金利が1.25%程度へ引き上げられた経緯を踏まえると、今回公表された議事要旨は、その約7週間前である7月時点において追加利上げを巡る議論がどのような観点で行われていたかを解明する資料となります。

 7月会合では、直近の6月会合で政策金利を引き上げたばかりであることを踏まえ、その影響を含めて経済・物価・金融情勢を確認する必要があるとの意見が複数の委員から示されました。ある委員は、利上げの効果がインフレ率や国内経済を下押しする形で波及するまでには「1年から1年半程度」のタイムラグが存在すると指摘しました。前回利上げの影響を慎重に見極める観点から、7月は政策金利を据え置くべきとの意見が示されました。

 これに対し、高田創審議委員は政策金利を1.25%程度へ引き上げる独自案を提出しました。高田委員は、世界的に金融政策が利上げ方向へ転じる中で「一定の利上げペース」にとらわれず、海外の金融環境変化に応じた機動的な対応や利上げ幅の議論が必要な新たな局面に入ったと主張しました。実体経済の下振れ不安が後退する一方、海外発のディマンドショックによる物価上振れリスクなどを踏まえ、1.25%程度への引き上げを提案しましたが、採決では反対多数で否決されました。

 ただし、議事要旨の全体像からは、採決結果の「据え置き8対1」が単純な利上げ慎重派と積極派の対立を意味するものではないことが窺えます。委員会内では、基調的な物価上昇率が2%に近づき金融環境も緩和的であることから、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくとの基本的な方向性が共有されていました。一部の委員からは、利上げが遅れて物価上昇が加速し、後から急速な利上げを余儀なくされる事態を避けるため、金融緩和の度合いを段階的に調整する必要性が強調されていました。

 物価動向のリスク評価においても、警戒感が一層強まっていたことが記録されています。委員会は、経済の見通しについてはリスクが概ねバランスしているとした一方、物価の見通しについては「上振れリスクの方が大きい」との認識を共有しました。背景として中東情勢や円安に加え、世界的なAI関連需要の拡大が議論されました。AI関連需要については、半導体や製造装置だけでなく、発電・電源設備などデータセンターを支える企業にも需要拡大の影響が及んでいるとの指摘がありました。一方、AI投資が期待通りの収益につながらない場合には、資産価格の変動などを伴って調整圧力が生じる可能性も議論されました。

 9月18日に日銀が政策金利を1.25%程度へ引き上げた決定に至る前段階として、今回公表された議事要旨からは、追加利上げの方向性だけでなく、その時期やペースを巡る議論が進んでいたことがうかがえます。1.0%据え置きという採決結果の裏側で、物価上振れリスクへの警戒感や今後の金融緩和度合いの調整手法について多角的な議論が行われていたことが示されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)