日銀・増委員「まだ下にいる」「早く解消したい」 政策金利1.0%、中立金利の推計レンジ1.1~2.5%を下回る

2026年09月11日 16:10

日銀1

日本銀行本店。増一行審議委員は、現在1.0%の政策金利について、名目中立金利の推計レンジ(1.1~2.5%)を下回る状態を「緩和」と捉え、「ちゃんと早く解消したい」との考えを示した

今回のニュースのポイント

日本銀行は11日、増一行審議委員が10日に福井市で行った記者会見の全文を公表しました。増委員は現在1.0%にある政策金利について、日銀が示す名目中立金利の推計レンジ(1.1~2.5%)を「まだ下にいる」と指摘し、「随分長いこと下にいて、主要国では日本だけが下にいる」「ちゃんと早く解消したい」との考えを示しました。さらにこの状態を「不自然な状態はどうみても緩和」と表現し、中立金利の推計レンジ内に政策金利を入れる必要性を強調しました。一方で、次回会合での利上げや50ベーシスポイント(bp)の大幅利上げには慎重な姿勢を保ち、物価の上振れリスクについても急激な上昇は想定していないとしています。

本文
 日本銀行は11日、増一行審議委員が10日に福井市で出席した金融経済懇談会後の記者会見要旨を公表しました。増委員は、政策金利と中立金利(経済を熱しも冷やしもしない金利水準)の関係について踏み込んだ分析を示しました。

 現在1.0%にある政策金利について増委員は、日銀が算出して示している名目中立金利の推計レンジ(1.1~2.5%)と比較し、「まだ下にいる。しかも随分長いこと下にいて、主要国では日本だけが下にいる」と現状を分析。「ちゃんと早く解消したい」との考えを示しました。さらに、推計レンジを下回る現在の金融環境について「不自然な状態はどうみても緩和であって、不自然でない状態にとにかくする」と語り、政策金利を中立金利の推計レンジ内にしっかりと入れていく姿勢を説明しました。ただし増委員自身、中立金利の水準について「どこが本当に正しいのかはやっぱり分からない」と留保しており、特定の目標値を固定しているわけではありません。

 会見では、次回会合等で25bp(0.25%)引き上げて政策金利が1.25%に達した場合の判断についても質問が及びました。増委員は「1.25%になっても緩和的かというのは、そこでやっぱりみてみないと分からない」と回答。また、50bpの大幅利上げの可能性についても明確な肯定は避け、「今までのかたちで、慎重にみていく」と述べるにとどめました。

 注目される利上げのペースについて増委員は、マイナス金利解除後の実際の利上げ間隔(4ヶ月、6ヶ月、11ヶ月、6ヶ月)を自ら振り返りました。そのうえで「概ね半年という報道を目にするが、半年のペースということそのものも、もう結果でしかない」と明言。「1回1回そのときの状況がすごく違う」と語り、過去にみられた「半年程度」という間隔が今後の政策判断の一定のサイクルになるわけではないと説明しました。

 足元の金融市場では追加利上げに対する関心が高まっており、会見でも今後の利上げペースや次回会合に関する質問が相次ぎました。増委員は「更なる利上げ」の必要性について、7月の展望レポートなどで日銀としての方向性を提示してきた経緯に触れつつ、来週の金融政策決定会合に向けては、為替相場の動きに加え、原油や国際的な食料価格の上昇などを総合的に点検し「そこまでにきっちりと検証して、しっかりと次の会合で議論する」として、特定の結論を予断する発言は避けました。

 物価情勢の認識について増委員は、基調的な物価上昇率が「もうそろそろ2%に届くかな」との見解を示した一方で、「大きく超えるというような状況が今みえるわけでもない」と説明しました。物価上昇の加速に政策対応が後手に回るビハインド・ザ・カーブのリスクについては、現時点で大幅かつ急激な上振れを危惧して政策運用を行っているわけではないとしています。

 今回の増委員の発言は、政策金利が中立金利の推計レンジを下回る現状を「緩和」と捉え、その解消を目指す方向性を明確に示しています。一方で、次回会合での判断や特定の決定タイミングについては予断を与えず、データや経済・物価情勢の慎重な検証を強調しました。市場で追加利上げへの関心が高まるなか、日銀がどのような判断を下すのか、次回会合での政策判断が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)