第45回復興推進会議で、除去土壌等の県外最終処分に向けた2030年以降の道筋具体化など、東日本大震災からの復興加速化について議論した。2026年度は第3期復興・創生期間の初年度となる(画像出典:首相官邸ホームページ)
今回のニュースのポイント
政府は10月2日、第45回復興推進会議を開催し、東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故から15年半が経過する中での復興加速化に向けた対応を確認しました。高市総理は、福島県内の除去土壌等の県外最終処分に向け、全閣僚による協力のもと「2030年以降の道筋を具体化する」方針を提示しました。復興庁の提出資料によると、インフラ整備はおおむね完了し、仮設住宅入居者がゼロとなる一方で、福島の原子力災害被災地域では実居住人口や産業復興の進展に地域差が残っています。2026年度からスタートした「第3期復興・創生期間」は5年間で1.9兆円程度の事業規模を見込んでおり、復興政策は従来のハード整備から、地域ごとの帰還・産業・環境再生といった課題解決へ移行しています。
本文
政府は10月2日、首相官邸で第45回復興推進会議を開催し、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故からの復興の進捗状況と今後の課題を共有しました。会議の冒頭で高市総理は、福島県内の除染に伴う除去土壌等の県外最終処分の実現に向け、「復興再生土」の利用促進について全閣僚の協力を求めるとともに、福島県外での最終処分に向けた「2030年以降の道筋を具体化する」方針を表明しました。
法律で規定された除去土壌等の県外最終処分の完了期限は、中間貯蔵の開始から30年以内に当たる2045年3月です。今回示されたのは、この2045年3月までの県外最終処分に向け、2030年以降の道筋も具体化していく方針です。政府は2024年12月に設置した閣僚会議のもと、2025年5月に復興再生土利用に関する基本方針を策定し、同年8月には当面5年間のロードマップを決定しました。官邸や霞が関の省庁をはじめ、地方支分部局での先行利用を進めており、これらの取り組みに続き、政府は今回、2030年以降の県外最終処分に向けた道筋も具体化する方針を示しました。
また、2026年度は「第3期復興・創生期間(2026〜2030年度)」の初年度に当たります。復興庁の資料によると、第3期における5年間の全体事業規模は1.9兆円程度と見込まれています。このうち福島県については、次の5年間の全体の事業規模が前の5年間を十分に上回ると見込まれており、原子力災害被災地域を含む残された課題への対応を進める方針です。
東日本大震災から15年半が経過し、ハード整備などはおおむね完了を迎えています。復興道路・復興支援道路(計画570km)、災害公営住宅(計画2万9654戸)、高台移転による宅地造成(計画1万8226戸)は、いずれも進捗率100%に達しました。発災当初に47万人存在した避難者数は2026年8月時点で2.5万人まで減少しており、応急仮設住宅の入居者は2026年5月時点でゼロとなっています。
その一方で、福島の原子力災害被災地域では実居住人口の状況において大きな地域差が生じています。復興庁の公表した2026年5月時点のデータによれば、全域住基人口に対する全域実居住人口の比率は、田村市が97.9%、南相馬市が95.7%に達する一方、浪江町は17.8%、大熊町は12.4%、双葉町は4.8%にとどまっています。避難指示の解除や生活環境の整備が進むものの、自治体ごとに生活再建のフェーズが大きく異なる実態が数字上に表れています。
経済・産業面においても同様の構造が見られます。岩手県および宮城県の県内総生産(建設業除く)が震災前の水準まで回復しているのに対し、福島県全体の総生産はおおむね震災前の水準にとどまり、特に被災12市町村では回復の遅れが目立ちます。一方で、福島浜通り地域などでは企業立地補助金等を活用した事業再建が進められており、企業立地件数は累計452件、雇用創出数は5,327人(2026年9月末時点)となっており、新産業の集積に向けた取り組みも続いています。
こうした進捗と課題を踏まえ、第3期復興・創生期間では、地震・津波被災地域における被災者の「心のケア」など中長期的な課題への支援を継続すると同時に、福島の被災地域における帰還・移住促進、生活環境整備、F-REI(福島国際研究教育機構)を中心とした研究・産業集積、および県外最終処分の道筋づくりを並行して推進していくことになります。復興政策は、インフラ整備に加え、地域ごとに残る帰還や産業再生、環境再生などの課題への対応が一段と重要になっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













