今回のニュースのポイント
日本銀行は9月17日・18日に開催した金融政策決定会合において、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」の基本要領改正を決定しました。これまで適用対象が東日本大震災に限定され、貸付限度額も同震災向けの1兆円と定められていた規定を見直します。改正後は大規模災害について「災害救助法が適用された地域」を被災地と定義し、実際の貸付限度額は対象となる災害ごとに今後の金融政策決定会合でその都度決定する運用枠組みへ改めます。本改編の主要規定は2027年5月31日より実施されます。また、同会合では「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」の貸付総額上限を50兆円に設定する改正も決定されました。
本文
日本銀行は9月17日および18日に開いた金融政策決定会合において、金融調節の円滑な運営を確保する観点から、被災地金融機関向け資金供給オペレーションを含む複数のオペレーション基本要領の改正を決定しました。本会合では政策金利の取り扱いが大きな焦点となりましたが、これと並行して、被災地金融機関支援オペや気候変動対応オペなど、複数の資金供給制度についても改正が決定されました。
今回見直しが行われた被災地金融機関支援オペは、大規模な災害によって被災した地域の金融機関に対し、日銀が適格担保を前提として固定金利で資金を貸し出し、復旧・復興に伴う初期の資金需要を金融面から支える制度です。改正前の基本要領においては、「対象となる災害」として東日本大震災が明記されていました。
今回の改正により、制度の基本趣旨には今後予想される復旧・復興に向けた資金需要への初期対応を支援する観点が明記されるとともに、「被災地」の定義が「災害救助法の適用を受けている地域(帰宅困難者対応により適用された地域を除く)」へと変更されます。その上で、実際の貸付限度額については対象となる災害ごとに金融政策決定会合で決定する仕組みへ改められます。これにより、東日本大震災に限定されていた対象規定が整理され、将来発生する大規模災害に対して機動的に運用できる共通の制度基盤へと組み替えられます。
資金供給の規模に関する規定においても、従来定められていた東日本大震災向け「1兆円」の固定上限が削除され、災害ごとに決定会合が判断する枠組みへ移行します。これは、あらかじめ特定の常設枠を設けるものではなく、実際の貸付限度額を対象となる災害ごとに金融政策決定会合で決定する設計です。
本改正の実施時期には段階が設けられています。基本要領の趣旨や貸付利率に関する改正は9月18日から即日実施されますが、対象となる災害の規定変更や決定会合による枠設定に関する主要規定は、2027年5月31日からの実施とされています。
また同日の決定会合では、「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション」についても改正が行われました。同オペの貸付総額上限を50兆円と定め、1貸付先あたりの限度額を、国内の気候変動対応に資する投融資のうち残存期間1年以上のものの残高に相当する額(上限10兆円)とする規定が盛り込まれ、こちらは9月18日より実施されます。50兆円の金額は制度上の貸付枠上限を示すものであり、即座に同額の資金供給が行われることを意味するものではありません。
東日本大震災を前提として運用されてきた被災地金融機関向けの資金供給制度は、今回の改正によって、将来の大規模災害発生時における初期対応スキームへと制度体系が整理されました。東日本大震災に限定されていた対象災害の規定を改め、実際の貸付限度額については、対象となる災害ごとに金融政策決定会合で決定する仕組みとなります。復旧・復興資金を供給する地域金融機関を支えるため、日銀としてあらかじめ柔軟な金融調節の枠組みを整えた形となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













