消費者の「少々高くても、上質なビールを飲みたい」というニーズの高まりとともに、本格的な味わい、素材や製法にこだわったプレミアムビールが、2000年以降、ビール系飲料の中でも注目されるカテゴリーとなっている。
これはビール系飲料の総市場が、近年縮小傾向が続いているなか、メーカーの新たな需要の掘り起こしが着実に身を結んできたかたちだ。その一方では、新たな需要のシフトも進んでいる。不況や消費者の節約志向を背景に、低価格の新ジャンル商品が伸び続け、発泡酒を出荷数量で3割を超え拡大。プレミアムビール人気にみる「高付加価値」志向と、毎日安心して飲める新ジャンルの「低価格」志向という両極を求める傾向が継続、まさに、ビール嗜好の2極化が進んでいるといえるだろう。
このようなビール系飲料全体の縮小傾向、需要の2極化を尻目に、昨今好調なのが、海外からの輸入ブランドビールだ。レストランやパブなど、飲食店で飲める機会も増え、徐々にファンも増えつつあるなか、一般消費者や流通業者への認知度アップを図るため、さまざまなビールイベントが各地で行われている。
6月2日から5日に大阪新梅田シティで行われた「ベルギービールウィークエンド大阪2011」には、延べ1万3千人の来場者があった。 関西で初めて行なわれたこのイベントには、一般消費者のほか、酒販店、大手百貨店、スーパーなど、流通業界や飲食店関係者などからも多数の来場者があり、連日大いに賑わったという。
昨年より早い梅雨入りにもかかわらず、イベント開催期間中は天候に恵まれたビール日和の4日間。 第1日目のオープニングセレモニーにはリュック・リーバウト駐日ベルギー大使を迎え、会場全員で乾杯。仕事帰りに仲間と立ち寄るビジネスマン、若いカップルや女性グループもオープンとともに来場、スタンディングテーブルは一杯になった。心地よい生演奏のジャズ音楽を聞きながら、ベルギービールをゆっくり楽しむリラックスした空気が会場内に広がっていったという。また最終日の日曜日には、子供を連れた家族や年配者も多く来場し、フリッツやソーセージ、チキンなどを食べながらビールグラスを傾ける人で会場は満杯に。ベルギービールを楽しむ大人のオアシスとなった。
ベルギービール広報センターの佐藤氏は、「従来のビールイベントに於ける『賑やかに楽しく酔うスタイル』とはひと味違った『ゆったりとリラックして楽しむベルギービールスタイル』が再確認され、今後の関西地区に於けるベルギービールの市場拡大に大きく寄与したものと考えます」と手ごたえを感じているようだ。
今回のイベントは、駐日ベルギー王国大使館の協力ならびにベルギー本国のベルギ ービール醸造所組合の後援を受け、ベルギービール広報センターを中心に、ベルギービール正規輸入会社であるアサヒビール、小西酒造、ブラッセルズ、三井食品からなる「ベルギービール・ウィークエンド東京」実行委員会によって開催されたという。