原発事故による脱毛の可能性は

2011年05月16日 11:00

 東日本大震災により起きた福島原発事故。放射性物質が流出されたことにより、人体への健康影響が心配されているが、そのうちのひとつ「脱毛」に関しても国内では相当数の人達が気にしていると思われる。

 東北地方をはじめとする東日本各地で甚大な被害をもたらした大震災は、津波を伴い、町や施設に壊滅的な被害を与えた。現在も予断を許さない福島の第一原子力発電所の事故も津波による影響が大きく、原子力安全・保安院による暫定評価も最悪のレベル7とされ、先頃発表された東京電力による収束の見通しは6カ月から9カ月後で、まだまだ安心した暮らしに向けた具体的なゴールは見えない状況だ。

 そして、その福島原発事故で流出した放射性物質による人への健康影響は関心も高く、文部科学省のモニタリング結果をこまめにチェックし、様々な報道番組による放射線量の被曝影響などを見る人達も多い。死に至る可能性が高まるほどの高線量被爆はもちろん最大級の関心を呼ぶが、他にも脱毛などを引き起こすのではないかと自分の毛髪を気にする人達も多く存在している。

 1975年発足した日米共同研究機関であり、広島・長崎の原爆被爆者の健康影響を大規模な集団調査を行い、放射線防護基準となる正確なデータを世界中に提供し続ける『財団法人 放射線影響研究所』によると、「放射線が及ぼす急性放射線症状(高線量の放射線に被曝した時の症状)のひとつとして脱毛がある。一時的に毛根の働きが弱まり、毛髪が細くなったり、時には折れたり、抜けたりする。がん治療のために行う放射線照射や抗がん剤投与でも同じような現象が起こることもあるが、回復して再び毛髪が生えてくる」としている。

 また、発毛を専門的に行っているリーブ21でも「脱毛は毛根が仮死状態にあるということで、毛根周辺の細胞が活力を完全になくした状態。もちろん脱毛後の正しいケアを行うことが望ましい。個人差はあるが、発毛の可能性がないというわけではない」(同社広報)としている。

 脱毛・薄毛を気にするがあまり、放射線の影響を心配するのも理解できる。だが、過剰な心配は、いくつか挙げられる脱毛の原因の中でも相当な割合を占めると言われる『ストレス』を誘発してしまうことにもなり兼ねないので、気にしすぎないことも大切だ。