公募型川柳の役割とは?

2011年02月07日 11:00

 様々な企業や団体が、キャンペーンの一環として行っている川柳や俳句の公募。その作品の中には、ユニークな視点で時世をあらわしたものも数多く見受けられ、今や恒例となっているコンテストも多い。

 広く知られている公募型の川柳としては、1987年(発表は翌年)から続く、第一生命 の「サラリーマン川柳」がある。今年発表の分は既に昨年の内に締め切られ、楽しみにしているファンも多い。昨年の1位は、『仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い (北の揺人)』のように、世相を反映した悲しいサラリーマン事情を詠い、また内容に掛ったユーモアのあるハンドルネームがうけ、啓発の時期を通り越し、すでにメジャーなコンテストへとなった。

 また、今年で22回目を迎える伊藤園 の「お~いお茶新俳句大賞」は、高額な賞金とパッケージを発表メディアに活用するというユニークな発想が人気の公募型コンテストだ。2月に締め切られる今年も、入賞者2000名の俳句が掲載される。昨年の文部科学大臣賞の受賞作は『風薫る この町出れば さぁ大人(宮崎県 元日田 唯 十八歳)』だった。

 変わった所では、インターリンクが公募する「オタク川柳」が面白い。身の回りのオタクネタを題材に募集、選考を通過した20句をウェブ上で公開し、一般投票で「神」と呼ばれる大賞を決定する。昨年は『この知識 オタクに普通 世に不通(とさか:30代)』が神となった。今年は1月25日に締め切られ、3月に各賞が発表される。また、ゴルファーのマナーアップを啓蒙するために、ゴルフダイジェスト・オンライン が公募する「マナーUP川柳」にもユニークな作品が登場する。最新の受賞作は1月より順次、全国のゴルフ場で掲示されたり、ポスターになる。最優秀作品は『後続に 跡を残さぬ 思いやり(オニスラ)』だった。他にも、発毛の啓発を目的としたリーブ21が開催する「発毛川柳」は、今年で7回目を迎え、応募作品も年々増え続けている。発毛の喜びや発毛までの過程など、応募者がそれぞれの想いを五・七・五で詠う。同社のウェブサイトなどで応募を開始しており、最終選考に関しては、今年4月に開催される、第11回発毛日本一コンテストの中で行われる。昨年の大賞は『髪型を 話題にできる 余裕でき(ぱんたろう)』だった。

 小説などのように時間を要しない川柳や俳句は、企業や団体にもキャンペーンとして採用され、それぞれが身近な存在になったり、モラルを認識したりと様々な役割を果たしている。ただ、危惧するのは数多く乱立するために、賞金や賞品目的のためのツールとしての要素ばかりが一般ユーザーにクローズアップされ、本来の目的が薄れていないかというところである。そのためには、企業や団体側がメディアを上手く利用し、もっとエンターテインメント性を高める事も重要である。