シャープ、日本IBMにSIS全株式を譲渡

2013年03月26日 17:31

 経営再建に向けて東奔西走するシャープ<6753>が、今度はシャープのIT構造改革を共同で推進するために、日本IBMと戦略的パートナーシップを構築することで合意したと発表。これに伴い、シャープグループが保有する「エスアイソリューションズ株式会社」(SIS)の全株式(計51.0%)を日本IBMに譲渡し、SISは日本IBMの完全子会社になるとのこと。

 SISは2001年3月設立。シャープの情報システムの開発や保守、運用業務を推進してきた。このSISを日本IBMの完全子会社とすることで、戦略的パートナーシップの強化を図り、日本IBMが有する多様なソリューションや先進事例のさらなる活用によりシャープのIT構造改革を加速させる。具体的には、日本IBMが、シャープの生産・販売拠点における業務アプリケーションの企画、開発、保守業務やシステム運用等のアウトソーシング業務を、新たに2013年2月1日から2023年3月31日まで約10年に亘って受託。シャープは情報システムに関する戦略立案に特化することにより、ITコストの低減を図るという。

 SISは、日本IBMが49%、シャープグループが51%の株式を保有していたもの。従前から話は進んでいたのであろうが、シャープがサムスンと資本・業務提携したことによる影響を日本IBMが懸念したことで、その時期が早まったと考えるのは邪推であろうか。鴻海との提携を進める一方でサムスンとの提携も進め、さらには米通信技術クアルコムからの出資も受けるといった、なりふり構わぬ姿勢から、徐々に好意的であった企業がシャープから離れて行く。それを「コスト削減」の名のもとに「良し」としているのではないか。確かに経営再建は待ったなしである。しかし、八方美人では四面楚歌に陥り、本末転倒となりかねないであろう。(編集担当:井畑学)