市販薬のインターネット販売、賛成は約6割

2013年03月28日 10:14

 2009年施行の薬事法改正に伴い、厚生労働省が省令で市販薬のうち1類および2類のウェブサイトによる販売を禁止していたことは違法だとして、医薬品ネット販売会社が国を相手に起こしていた裁判。地裁、高裁で異なった判断がなされたことで最高裁判所の判断に注目が集まっていた本裁判は、今年1月11日、国の規制は違法だとする高裁の判断を支持。これにより、今後のインターネットによる市販薬販売に関する動向に注目が集まっている。

 こうした状況を受けて電通総研が、市販薬のインターネット販売が可能になった場合の医薬品購買チャネルの変化や市場拡大の可能性について調査。3月27日にその結果を公表した。

 これによると、市販薬のインターネット販売には58.7%が賛成と回答。反対は10.7%にとどまっている。賛成派には女性よりも男性が多いことが特徴的で、40代・50代男性では7割以上が賛成と回答。一方で女性は、「副作用が起きた場合の対応」や「自分の判断だけで医薬品を選択すること」「薬の飲み合わせの判断」などで不安を示す割合が高く、慎重な姿勢が窺える結果となっている。一方、インターネットで市販薬の購入が可能になった場合、77.2%がインターネット販売を利用したいと回答。実際の購入意向については年代や性別による顕著な差は見られなかったという。

 興味深いのは、「今までは購入したことはなかったが、インターネット販売でならば買いたいと思う医薬品」が、滋養強壮剤・ビタミン剤(10.0%)、育毛剤(9.7%)、漢方薬(9.5%)であった点であろう。さらに、「これまでドラッグストアなどで購入していた市販薬について、今後はインターネットでも購入したい」という医薬品も、育毛剤が73.4%、妊娠検査薬が65.7%となっている。いずれも、対面での購入が憚られるものか、サプリメントのような感覚で服用しがちな製品である。

 同調査では、6000億円強と推計されている市販薬市場全体が最大で約2400億円程度拡大する可能性があるとしている。この数字だけを見れば市販薬のインターネット販売解禁は歓迎すべきことなのかもしれない。しかし、製品そのものや服用方法等に関する安全性だけでなく、サイト運営者自体の信頼性も十分に担保されなければならない。便利さを優先した結果、身体に害が出ては本末転倒である。こうした課題をクリアしたルール作りが実現するのか、注視していく必要があるであろう。(編集担当:井畑学)