プロ野球元巨人監督の長嶋茂雄氏と元大リーガーの松井秀喜氏への国民栄誉賞授与が検討されることになった。一方で理由については説得力の弱いものになっている。
菅義偉官房長官は1日夕の記者会見で「長嶋氏は長年にわたりプロ野球界で闘志溢れるプレーと驚異的な勝負強さで数々の輝かしい成績を残し、ミスタープロ野球と呼ばれるなど、誰もが認めるプロ野球界の国民スターとして社会に明るい夢や希望を与え、プロ野球を国民的なスポーツにまで高め、今日の野球界の発展に極めて顕著な貢献を残した」と評した。
また長嶋氏と師弟関係にある松井氏については「日米を通じて20年間にわたり常にチームの主軸を担い、勝負強い長距離打者として数々の素晴らしい成績を残し、中でも、米国で日本人として初めてワールドシリーズでMVPを獲得するなど、ゴジラとの愛称で日米の多くの国民に親しまれ、その活躍は社会に大きな感動や喜びを与え、多くの青少年に夢や希望を与えた」と語った。
菅官房長官は、こうした功績を踏まえ「事務当局に国民栄誉賞の授与の検討を進めるように指示した」と検討に入るよう指示したことを発表した。菅官房長官は「今後、関係者の意見を聞いたうえで最終判断を行う考えだ」とした。
国民栄誉賞は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった人に授与し、栄誉を称えるもの」で、菅官房長官は「ふたりはこれにふさわしいということで指示した」と説明を行った。
ただ、野球界をリードし、野球界発展に貢献し、かつ国民的人気も高い人物の中には27年間にわたり現役としてプレーし、ヤクルト・阪神タイガース・東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を務めてきた野村克也氏はじめ、現役時代に146勝121敗34セーブの成績を残し、中日ドラゴンズ、阪神タイガース、北京五輪監督、東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を歴任してきた星野仙一氏らもいる。
松井氏に対しても、近鉄時代に最多勝利・最優秀防御率・最多奪三振・最高勝率の4冠を達成し、大リーグでは日本人メジャーリーガー史上初の完封勝利、その後、ノーヒットノーランを2回達成するなど大リーグを日本のお茶の間にひきよせた野茂英雄氏や現役引退までは受賞を固辞したい意向を示しているとされるが10年連続しての200安打達成やシーズン262安打記録など走攻守揃ったイチロー(鈴木一朗)氏など、いずれも貢献度では大きな実績を残してきた人らとの比較の中で「選考候補の基準がわかりづらい」との意見も出ている。
受賞となればプロ野球界では世界のホームラン王として球界に大きな功績を残す王貞治氏(昭和52年 通算本塁打数世界新記録達成・756本)、鉄人として知られた衣笠祥雄氏(昭和62年、連続試合出場世界新記録達成)に次いでの受賞となる。(編集担当:森高龍二)