エコポイント半減のニュースを受け、駆け込み需要で品薄状態のテレビなど一見賑やかに見えるが、メーカーは平成20年以降の景気悪化から脱却したとは言えないし、量販店は合併・買収などが盛んで再編中と、慌ただしい現状が続く。
エコポイント制度は8月末に2011年の3月までの延長が決定、当初は12月の年末商戦と打ち切り直前の重要が予想されていた。ところが政府は、10月上旬に急遽、12月からの「ポイント半減」と2011年1月からの「対象を買い替えに限定」に変更した。その影響で現在、量販店を中心に駆け込み需要となっている。特に、来年7月に地デジへ完全移行されるテレビは動きが顕著で、薄型テレビの生産に追われるメーカーが続出、一部の工場では平日の残業や土・日の稼働で増産体制を組んでいる。しかし、液晶テレビの場合は計画的な生産・調達のため、機種によっては品切れ状態で、予約販売に移行した製品も出てきた。また、エアコンもここにきて、再び需要の伸びを見せており、対象商品は制度変更によって様々な対応に追われている。
一方、エコポイントの予算額が急激な需要増により、底をつくのではという消費者の懸念も広がってきた。10月末現在、予算額の6,929億円に対し、3,535億ポイントが発行され、ついに半分を超えた。そして、この駆け込み需要により、一気に予算を使い切ってしまい、来年3月の購入期限を前に打ち切りになると予想する声も出てきている。政府側は十分対応できるとの見方だが、クルマでもエコカー補助金打ち切りという記憶に新しいニュースがあり、完全に不安が消える訳ではなさそうだ。
家電メーカーが力を入れている商品として注目したいもののひとつとして、3D対応テレビが上げられる。BDソフトも3D上映される映画の拡大に比例し、徐々に作品数が増えてきた。3D映画がひとつのいスタンダードになりつつある今、家庭での3D普及も目の前に迫っていると感じるメーカー各社は現在、市場にどんどん3Dを投入している。映画だけではなく、ペイパービューなどのソフトもどんどん充実し、来年は3Dテレビ普及元年として期待する関係者も少なくない。3Dテレビは対応のメガネを使うことで、その映像を楽しむことができるというのが、一般的に知られているが、東芝<6502>は世界初の裸眼3D対応テレビを先日発表、12月下旬から販売を開始する。
地デジ完全以降が目の前に迫った今、消費者の需要を喚起する様々な新製品投入が期待されるAV家電の動向は、2011年の家電業界全体を牽引する起爆剤になる可能性を十分に持っているので、目が離せそうもない。
(編集担当:加藤隆文)