最高契約額は1800万円にも。東京都は新聞折込みチラシなどで格安の食料品などを提供することにより人を集め、数ヶ月間オープンする会場で健康に関する情報を提供しながら時間をかけて健康食品や浄水器などの高額な商品を勧誘する事業者(宣伝講習販売)の実態について調査した結果、巧みな話術で健康不安をあおったり、薬事法に抵触するような虚偽説明などにより、健康食品等を多量に契約させていた業者ら7社に対し、特定商取引に関する法律に基づき3ケ月間の業務の一部停止を命令するとともに、東京都消費生活条例に基づき、このほど勧告を行った。
命令を受けたのは愛知県に本社を置く株式会社ピュアや東京都に本社を置くホワイティなど。都では7社がともに共通した手口で違反行為を行っていたとして、例をあげて注意を喚起している。その内容によると、(1)新規開店などと言って、格安の値段で、食パンなどが購入できることを強調したチラシを新聞折込や個別配布により頒布し、消費者を近くに設けた仮設会場に案内する(2)会場はビルの空き店舗などで、入口に会社名の入った看板などがあるが、外部からは中が見えにくい。内部は、いすが並べられ、周りに日用品が陳列してある場合があるが、主力商品は陳列されておらず、話が始まると、扉が閉められるなど、一般の店舗とは、様子が異なっている(3)最初の数日は、100円程度を集金し、食料品を配り、健康の話を毎日1時間程度行う。特に商品の紹介は無く、健康についての話を面白おかしくするために、高齢者は、役に立つと思い引き込まれて、毎日通うようになる。健康が大事であること、健康を失うとどのようになるか写真などを見せて不安にさせる(4)数日後から主力商品の説明に入る(宣伝講習販売)。商品の効能・効果について、実験をしたり、医学博士の研究資料等を用いながら説明するため、健康不安を抱えた高齢者は盲目的に信じ込み、契約してしまう。からだの症状にあわせ、多種類の健康食品等を契約することになる(5)価格について根拠のない相場や今日だけ特別割引、数量限定などと言って煽り、あたかも非常にお得であるかのように誤信させる。消費者の意向を聞くことなく半年から1年分の多量の購入を促す。購入額に応じて会員サービスが行われ、一度購入すると以後絶え間なく契約関係が継続することになる(6)長期間にわたり店に通うため、事業者と消費者の間に絶対的な信頼関係が生まれているため、購入した商品による健康被害や支払い困難に陥るまで被害に遭っていることに気がつかない消費者が多く、問題が顕在化しない、としている。契約者は高齢者が多く、最高齢では92歳。最高契約額では1800万円があったが、ほかにも、800万円、626万円、590万円など、高額契約している人がいた。
都では業務停止命令に違反した場合には、行為者に対して特定商取引法の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行うとしている。