プロポリスが糖尿病予防に有効、山田養蜂場が発表

2010年11月15日 11:00

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2003年より川崎博己教授と山田養蜂場が共同研究をスタートし、糖尿病予備軍に対するプロポリスの効果を明らかにしてきた。

 山田養蜂場は、岡山大学大学院の川崎博己(かわさきひろむ)教授と共同研究を行い、家系的に糖尿病リスクが高くとも、ブラジル産プロポリスの予防的投与が糖尿病予備群の初期症状であるインスリン抵抗性を改善することを明らかにした。

 厚生労働省が実施した平成19年国民健康・栄養調査結果によると、糖尿病患者は予備群を合わせ、2,210万人にも及ぶとされている。また、そのうち約95%以上が、長年の食べすぎや運動不足などの生活習慣が原因の2型糖尿病という。現在、糖尿病を完治させる治療法は確立されておらず、予防および、早期発見・治療が重要とされている。そんな中、同社では糖尿病発病前の初期予防のひとつとして、機能性を持った食品を日常的に摂取することに注目。ミツバチが生産するローヤルゼリーやプロポリスが、糖尿病予備群の初期症状に効果が見られるかの研究を2003年より開始した。

 糖尿病予備群は、食後に上がった血糖値を元に戻す”インスリン”の効きが悪くなり、空腹時でも血糖値が高いままでインスリンが分泌され続ける、インスリン抵抗性という状態にある。この状態が続くとすい臓が疲労し、インスリンの分泌量が低下、結果的に糖尿病を引き起こすというのが糖尿病発症のメカニズムだ。また、最近の研究ではインスリン抵抗性が進行すると、肥満や血圧、血流量といった血管の調整機能が異常をきたすことも分りつつある。つまり、メタボリックシンドロームの初期段階のシグナルとしても注意が必要であるといえるのだ。しかし、インスリン抵抗性は、初期段階では自覚症状がなく血糖値も正常なため、専門の検査をしなければ発見が難しく、症状が進行してしまう可能性が高いとされている。これらを踏まえ、同社では健康な時から、機能性食品を利用する初期予防に注目し様々な研究を行ってきた。

 今回の実験では、遺伝的に加齢とともに糖尿病を発症するラット(OLETFラット)を用い、健康に近い10週齢からブラジル産プロポリスを4週間摂取させた14週齢のラットで、12時間絶食後の血糖値およびインスリン値を測定し、インスリン抵抗性指数を算出。さらに、取り出した血管に電気刺激を与え、血管収縮反応を調査した。その結果、プロポリスを与えなかった対照群では、インスリン抵抗性指数が上昇し、インスリン抵抗性の状態へと変化していた。一方、プロポリスを与えた群では、インスリン抵抗指数が対照群と比較して有意に低く、改善が認められると共に、異常な血管収縮反応も抑えられていた。この結果からメタボリックシンドロームの予防効果も期待できると言える。

 また、同社ではこれまでにブラジル産プロポリスの予防的継続摂取によるインスリン抵抗性改善作用について、生活習慣により糖尿病予備群の状態へと変化することを想定したモデルラット(果糖水溶液を継続的に摂取させ、糖尿病予備群の症状を発症させるフルクトース負荷ラット)を使った試験でも確認。ローヤルゼリーについても同様に、OLETFラット、フルクトース負荷ラットそれぞれを使った試験で、予防的な継続摂取がインスリン抵抗性の状態を改善することが示されたという。

 これらは、2003年より山田養蜂場が岡山大学大学院の川崎教授と共同で取り組んできた、ミツバチ産品の糖尿病への有用性に関するラットを使った一連の研究成果であり、今回の実験結果が加わったことで、プロポリスとローヤルゼリーはどちらも、遺伝的な糖尿病リスクの有無に関わらず継続的に摂取することで、ラットのインスリン抵抗性の改善効果が得られることが明らかとなった。これらの研究成果は、薬学雑誌に論文発表されたという。
(編集担当:山下紗季)