昨年度の旅行会社の倒産 過去5年で最多に

2010年07月30日 11:00

 旅行需要の低迷、価格競争の激化などから倒産に追い込まれるなど、2009年度中に旅行会社52社が倒産していたことが帝国データバンクの調べで分かった。過去5年で最多倒産件数になっている。

 帝国データバンクでは今後の旅行業界の見通しについて「旅行単価がリーマン・ショック以前の水準にまで戻るには一定の時間がかかるとみられ、旅行会社の業績回復は小幅にとどまる見通し」としている。

 調べによると、2009年度の旅行会社の倒産は52社、負債総額66億2200万円と2008年度(49社、90億4500万円)に比べ負債額で27%減少していたものの、2006年度(32社、20億1500万円)の3.29倍と高額になっていた。

 帝国データバンクでは「販売不振や業界不振などの不況型倒産が最も多く、景気後退により旅行需要が低迷するなかで、薄利多売方式で価格競争が激化、資金繰りが苦しくなって倒産に至る企業が続出した。近時は航空会社によるゼロ・コミッション(旅行会社に対する発券手数料の廃止)が本格化したことでさらに収益が悪化し、経営が行き詰まるケースも散見された」としている。

 今後については「中国人のビザ取得要件緩和によるインバウンド(訪日外国人旅行者)の増加、10月からはじまる羽田空港国際化による出国者増加が期待され、旅行業界にとって追い風になるが、今年9月には昨年のような大型連休がないうえ、燃油サーチャージの再値上げも控えており、安・近・短の節約志向は今後も続くと予想される」と旅行会社の業績回復が小幅にとどまるとの見通しを示している。
(編集担当:福角忠夫)