東名でのバス火災事故 原因はターボの破損

2010年07月01日 11:00

 昨年3月にジェイアールバス関東の高速バスが、また9月にはローレル観光バスが、相次いで東名高速道路で火災事故を起こした件で、バス火災事故の原因究明と再発防止策を検討してきた国土交通省「バス火災事故調査小委員会」(委員長・森沢正旭東京都市大学名誉教授)は調査結果をまとめ、再発防止策を提言した。

 調査委員会は火災原因を「ターボチャージャー(ターボ)の破損によるもの」と断定。ジェイアールバスの火災の場合は「ターボの軸受部が潤滑不良となり、又は何らかの原因により急激にコンプレッサー側が破損して全体がアンバランスになったため、シャフト等が破損し、ターボ破損部からのオイルが排気系にかかり出火、延焼した。火災発生後もエンジンを止めなかったため火災が拡大」(バスが全焼した)と推定している。

 また、ローレル観光バスの火災については「ターボの軸受部が液状シーリング材と推定される異物により潤滑不良となり、コンプレッサー側又はタービン側のホイール(羽根車)が破損して全体がアンバランスになったため、シャフト等が破損し、ターボの破損部からのオイルが排気系にかかり出火、延焼した」と推定した。

 このため、バス輸入・販売事業者やバス製作者に対しては「ターボの定期的な点検の指定等又はターボの定期交換時期を明確化すること」を提言したほか、バス事業者に対しては「運転者に対し、車両火災発生等緊急時における統一対応マニュアルに応じて行動するよう教育を徹底すること」を提言。

 国土交通省に対しては(1)バス輸入・販売事業者又はバス製作者が指定等したターボの定期点検について、バス事業者に対し点検の励行を周知すること(2)ターボ潤滑系の配管部品類の整備を行う場合には、液状シーリング材を用いないよう、整備事業者に対し注意喚起すること(3)国連の自動車基準調和世界フォーラムにおいて検討されている材料の燃焼性質等に係る規則の強化について、国内導入に向けて検討することを求めた。
(編集担当:福角忠夫)