中小企業金融円滑化法の終了で充実化が急がれる支援体制

2013年04月17日 08:47

 倒産の絶対件数を減少させる要因となっていたものの、2013年3月末に終了した「中小企業金融円滑化法」。これに伴い、住宅ローンや事業ローンの不良債権化が懸念されており、政府も支援機関を通じた経営改善や事業再生などの取り組みに奔走している。

 こうした中、住宅ローンや不動産を担保にした事業ローンの返済問題に関するコンサルティングを行っている「一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」においても、債務問題に関する問い合わせが増加。そのため、弁護士や元サービサー、宅地建物取引主任者等の協力専門家と相談担当の増員を実施し、任意売却後の新居探し・就職支援・心のケアといった再スタート支援も開始したと発表した。任意売却の基礎知識、任意売却の解決事例、自己チェック機能など、ホームページ上での情報提供も強化しているという。

 任意売却とは、住宅ローン等の借入金が返済不能となった場合、かつ売却後も債務が残る債務超過物件を債権者の合意を得て売却すること。売却代金から取引に係る仲介手数料等の費用を控除した後、債権者でその権利順位等によって配分するものである。この任意売却については、任意売却に関連する不動産業者が、任意売却に関わる法律知識不足によるトラブルが多数発生している。そのため同協会は、協会協力員や外部支援機関と共に新たな「資格制度」を創設することも同時に発表。資格制度の概要は5月に公表予定、試験は11月に実施される予定だという。

 債権者・債務者の双方を支援するシステムではあるが、言葉を変えれば「倒産ビジネス」とも言える。帝国データバンクの調査によると、2012年の倒産件数は1万710件で4年連続前年度比減、負債総額も2兆9291億1700万円と過去10年で最小となっている。この数字が来年発表時にはどうなっているのか。こうした倒産ビジネスが活況を呈するようであれば、今の好感触な景気動向も長続きはしないであろう。(編集担当:井畑学)