理化学研究所と住友化学<4005>が、次世代分野における研究成果をより早期に創出するため、「研究開発のための連携に関する協定書」を締結すると発表した。
理化学研究所は、日本最大規模かつ最高水準にある自然科学の総合研究機関であり、物理学、工学、化学、生物学、生命科学など幅広い分野で先端の基礎研究課題に取り組んでいる。一方の住友化学は、基礎化学、石油化学、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品の5つの事業部門を有する総合化学企業であり、長年にわたり培ってきたコアとなる技術の深化や、基盤技術の充実、異分野技術の融合などを通じて、より付加価値の高い事業、製品、技術を創出することを目指してきた。この両社はこれまでも個別のテーマごとに共同研究を実施していたものの、今後はより一層知見や技術力を融合させ、次世代情報・電子関連材料技術分野、次世代エネルギー関連材料分野、次世代触媒技術分野、ライフサイエンス分野での研究成果の早期創出につなげていくとのこと。
スーパーコンピューター「京」を生み出た理化学研究所は、産業界のニーズを重視した連携活動を行う社会知創成事業に取り組み、知識や技術を効率良く移転する「バトンゾーン制度」を導入している。リレー競技に例えて、理研の基礎研究者がもつバトン(理研知)を企業の研究者に一つの場にて全力で並走、引き渡し、その後の企業による製品開発を加速して、イノベーションの社会への導入を速やかに行うことを目的とした理研独自の産学連携制度である。これまでにオリンパスやトヨタ、タケダなどといった名だたる企業と連携をしており、こうした中に住友化学が加わる形となる。日本随一の技術力が集結するこうした取り組みから、今後の日本経済を牽引してゆく技術が生み出される。その成果が一日も早く実を結ぶことを期待したい。(編集担当:井畑学)