動き始めたポストスマートフォン戦争

2013年04月21日 18:30

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「Galaxy」ブランドを展開する韓国Samsung Electronicsも先日、腕時計型端末の開発を認めた。

 Googleがメガネ型の「Google Glass」を今年中にも製品化する動きを見せており、それに対抗するかのように、Appleもかねてから噂の「iWatch」を今年発売するのではないかともいわれ、ウェアラブル端末への注目度がにわかに高まっている。

 米アナリストによると、もしも噂通りAppleがGPS搭載型のスマートウォッチを2013年に投入した場合、ウェアラブル端末、とくにスマートウォッチ市場は50%増の躍進が見込まれるという。 

 もちろん、それほど大きな可能性を秘めた市場を、他のメーカーも手をこまねいて傍観しているわけではない。GoogleとAppleの二大勢力だけでなく、世界各国の主要メーカーはすでに、スマートフォンの向こう側と位置づけられるウェアラブル端末市場を見据えて動き始めているようだ。

 まず、「Galaxy」ブランドを展開する韓国Samsung Electronicsも先日、腕時計型端末の開発を認めた。デバイス名は「Galaxy Altius」になるといわれており、時計機能はもとより、音楽プレーヤー、マップ機能、電子メールクライアントなど、こちらもスマートフォンに近い機能が含まれることを同社幹部が示唆している。OSには、現行のGalaxyシリーズ同様、カスタマイズされたAndroidが搭載される模様で、ウェアラブル端末市場でもアップルと真っ向勝負を挑む構えになりそうだ。

 また、米国で開催された家電製品のトレードショー「CES2013」において、韓国LG電子が「Sports Activity Tracker」と呼ばれるフィットネス向けのスマートウォッチを公開して話題となっている。こちらのOSについても、同社のスマートフォンのほとんどが採用しているAndroidOSが搭載されることが有力とみられているものの、MozillaのFirefox OSの可能性もあるという。

 同じく、CES2013では、Kickstarterで出資者を募っていたスマートウォッチCOOKOOが資金調達に成功し、完成した製品を公開した。その外見は、一見しただけでは、アナログの腕時計にしか見えない。しかしその実態は、電話やメール、SMSなどの着信を知らせる機能を搭載し、さらに時計側からスマートフォンを操作することでカメラ撮影も可能なウェアラブル端末となっている。フェイスブックなどのチェックインも時計側の操作で行なえる、高機能スマートウォッチだ。

 さらに、東芝もCES2013の展示ブースでスマートウォッチの試作機を公開している。OLEDカラーディスプレイとARMプロセッサが搭載されており、競合他社の製品同様、iOSやAndroid端末と連携可能で、メール通知やGPSを利用した情報確認ができるが、この機種の一番の特徴はカスタマイズできること。Webストアにて様々なアプリを追加で購入することによって、ユーザーのスタイルに合わせて必要な機能を拡張したり、特化させたり、カスタマイズできるようになっている。

 そして、水面下で静かに不気味な動きをみせているのがMicrosoftだ。スマートフォン市場ではGoogleとAppleに水をあけられた感のあるMicrosoftだが、現在、ウェアラブル端末のシェアを獲得すべく、独自ブランドのスマートウォッチを開発し、すでにテスト段階にある可能性が報じられている。

 Microsoftが開発中と噂されるスマートウォッチは、XboxとKinectセンサ用のアクセサリ開発に携わっていたスタッフが携わっているとみられており、他社とは違ったアプローチの製品が登場するのではないかと期待されている。具体的には、プロトタイプには、1.5インチのタッチディスプレイに取り外し可能なバンドが付属しており、マグネット式電源コネクタが採用されているという。

 さらには、Googleも「Google Glass」とは別に、スマートウォッチも開発中といわれており、こちらからも目が離せない。いずれにせよ、今年中には少なくともGoogleとAppleの2社は、来るべきウェアラブル端末市場に対して何らかのアクションを起こしそうだ。スマートフォンの向こう側に、大いに期待したい。(編集担当:藤原伊織)