日本でもすっかりお馴染みになった世界最大のSNS「Facebook」。そのFacebookが、いよいよ自社ブランドのスマートフォンを発売するのではないかという噂が飛び交っていた。
噂の発端は、先月28日に同社がメディア各社に向けて送付した招待状。内容は、4月4日に開催する「Android」をテーマにしたイベントに対する招待で「Come See Our New Home on Android(Android上の私たちの新しい住まいを見に来てください)」という文が添えられていたというのだ。
「Facebook Phone」に関する噂は以前から何度も取り沙汰されてはいたものの、いつも肩透かしだった。今回こそはと期待の声が高まる一方で、中には、やはり今回も同じく発表は行なわれないのではという意見もあった。
「Facebook Phone」が発表される派の意見の根拠としてはまず、過去の事例が挙げられていた。これまで「Graph Search」や「News Feed」などの規模の大きなものの発表の前には必ず、Facebookからメディアに向けて、このような招待状が送られているのだ。つまり、4日のイベントでは、Facebookフォンならずとも、何らの大きな発表が行なわれることは間違いないと推測されていたのだ。
また、Facebookはこの数週間、台湾を拠点とするスマートフォン・携帯情報端末(PDA)メーカーのHTC Corporationとともに、積極的な広告キャンペーンに取り組んでいることから、Facebookフォンに関して2社が提携する可能性が高いのではないかともいわれていた。
一方、「Facebook Phone」なるものが発表される可能性は極めて低いとする否定的な意見も多かった。その理由は「今さらFacebookが携帯電話を発表する必要はない」という、シンプルなものだ。しかし、それだけに説得力もある。確かに、Facebook専用のボタンや仕掛けを搭載したスマホが登場しても、それが驚きに値するとは思えない。しかも、FacebookとHTCではすでに、「HTC Salsa」と「HTC Status」「HTC ChaCha」という機種を2年前に発表している。それらと同様のものを名前だけ「Facebook Phone」と命名して発表するような愚かなことは、流石にしないだろうというのが否定派の意見だった。
様々な憶測を呼んだが、4日のイベントでCEOのマーク・ザッカーバーグ氏が発表したのは、Android用アプリという形で作られたのが「Facebook Home」と、同アプリが標準でインストールされているHTC製のスマートフォン「HTC First」だった。「Facebook Home」は、ホーム画面上から直接ニュースフィードを確認して、そこからカバーフィードで知り合いの近況や写真の閲覧ができるなど、すべてにおいてFacebookに自動的に誘導されるアプリということだ。これが、噂されていた「Facebook Phone」の正体だったのだろうか。しかしFacebookサイドは、「Facebook Phone」ではなく、あくまでAndroid上のアプリ群として提供するものとしているようだ。どうやらFacebookは 、オリジナル端末を作るのではなく、Android OS上に載せていく道を選択したということになるようだ。(編集担当:樋口隆)