若年性認知症の電話無料相談が認知症介護研究・研修大府センター(愛知県)に昨年10月1日に開設されて以来、今年1月30日までの4ヶ月間に電話件数が2701件と2700件を超えて寄せられていることが分かった。このうち、686件で実際に相談が実施された。
この相談は厚生労働省の認知症対策等総合支援事業の一環として、若年性認知症特有の疑問や悩みに対応するために実施されている。
センターでは、弊社の取材に対し、本人からの相談では「自分が認知症になっているのではないか」という問いや「治療方法」を聞かれるものが多く、家族や会社関係者からは「病院や福祉サービスについて教えてほしい」「部下が認知症かもしれない」などの相談が多いという。
センターでは専門教育を受けた相談員が年末年始と祝日を除いて、毎週月曜から土曜の午前10時から午後3時まで、フリーダイヤル(0800・100・2707)で相談にのっている。
厚生労働省の調査によると、18歳から64歳人口においての人口10万人あたりの若年性認知症者数は47.6人で女性(36.7人)より、男性(57.8人)の方が多かった。
この調査は2006年から2008年までの3年間、65歳未満で発症する若年性認知症に関して、全国的な疫学的実態や当事者や家族が抱える問題を明らかにする目的で実施された。
それによると、全国に若年性認知症者は3万7800人いるものと推計されるとしている。また「30歳以降では、5歳刻みの人口階層において、認知症全体の有病率は1階層上がるごとにほぼ倍増する傾向にあること」や「推計発症年齢としては平均で51.3歳プラスマイナス9.8歳になっており」男性では41.3歳から60.9歳までの間で、女性では42歳から61.2歳までの間で発症していた。
また基礎疾患としては脳血管性認知症(39.8%)、アルツハイマー病(25.4%)、頭部外傷後遺症(7.7%)、前頭側頭葉変性症(3.7%)、アルコール性認知症(3.5%)、レビー小体型認知症(3.0%)の順になっていることが分かった。
一方、介護家族が最初に気づいた症状としては「物忘れ」が50%と最も多く、次いで「行動の変化」(28%)「性格の変化」(12%)「言語障害」(10%)があがっていた。
また、家族介護者の6割近くは抑うつ状態になっており、経済的困難や介護のあり方など、福祉サービスや専門職の充実を求めていることが浮かび上がり、これを受けて「無料相談センター」が開設された。
なお、若年性認知症の治療機関は現在、全国に約600機関あるという。
(編集担当:福角忠夫)