中小企業個人事業主の6割が年間所得(申告所得)300万円以下と厳しい状況にあることが、中小企業庁の行った2008年度中小企業の会計に関する実態調査でわかった。
これは「中小企業の会計ルールに関する認知度・浸透度をはかるとともに、中小企業における会計処理の実態、情報開示や管理会計への意識を把握することを目的に」実施しているもので、中小企業が信用力のある決算書を作成することにより、適正な経営の見極めや金融機関からの円滑な資金調達を可能にするなども期待されている。今回は個人事業主に対しては5000件を抽出して今年2月から3月にかけてアンケートを実施。対象は製造業、卸売業、小売業、飲食店、宿泊業、サービス業に及んだ。その結果、398件の回答があった。
それによると、申告所得が300万円以下の事業主が64.8%を占め、300万円以上は26.%と個人事業主のほぼ4人に1人にとどまった。
個人事業を選んだ理由では、すぐに開業できるからが29.1%で最も多く、簡易記帳で経理処理ができるから(10.1%)が続いた。次いで、資本金や出資金を必要としないから(7.5%)というものだった。
申告については、80.7%が青色申告をしていたが、白色申告も11.8%あった。
また、資金調達など、主要取引金融機関については地方銀行が46.5%とほぼ半分を占め、信用金庫(27.6%)がこれに続いた。都市銀行は7.8%と3番目だった。政府系金融機関がメインという事業主は2.5%にとどまった。
事業歴については、回答してきた事業所ということもあり、55.8%が30年以上継続していると回答。10年以上となると、83.4%と8割を超えた。
本人や役員を除いた従業員数では0人から4人までという事業所が81.4%となり、21人以上の従業員を雇用している事業所は1%だった。
(編集担当:福角忠夫)