文部科学省は小中学校など学校教育施設などに吹き付けアスベストが使用されていないかどうかの実態調査を2005年7月から実施し、昨年度までに一応の調査を終えていたが、分析調査でトレモライトなどが対象から外れていたケースなどが見つかったことから、その後に、再調査を行うよう都道府県に要請。その結果、昨年10月1日に比べ、調査未完了の機関は今年3月末現在で3分の1にまで減少していることが分かった。それでも4000機関近くが未完了の状態になっていた。
文部科学省では「未完了の機関に対しては、通知文を出し使用実態調査の早期完了の徹底を要請したい。また、国公私立小中学校等の対策工事のための補助を引き続き実施する。各種会議や研修会等で適切なアスベスト対策について継続的に周知を図る。対策状況等のフォローアップ調査を継続して実施する」としている。
アスベストは中皮腫や肺がんなどの要因になることが分かり、2005年、文部科学省も教育施設での使用についての実態調査を推進するとともに、問題校舎の撤去などに自治体に対して補助を行ってきた。現在も撤去に際して工費の3分の1を補助している。ただ、吹き付けアスベストの実態調査・分析は地方自治体自身の負担で行わなければならないため、未完了の機関も昨年10月1日現在(1万1544)に比べ3分の1(3876、今年3月31日現在)にまで減少したものの、4000近く残っている。
調査未完了の内訳をみると、公立の幼稚園、小学校、中学校、高校など公立学校が2449機関。高等専門学校や大学が3機関、教育研修センターや教育支援センターなど公立学校関係施設230機関、私立の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学など245機関、公立の社会教育施設572機関、公立社会体育施設272機関、文化会館など公立文化施設104機関、所管独立行政法人などの施設1機関だった。
同省では「未完了のところに対しては、できるだけ早く調査を完了していただきたい」と話しており、問題の施設が見つかった場合には撤去など早期の措置が求められている。
(編集担当:福角忠夫)