微糖缶コーヒーはブームから定番商品へ

2012年10月22日 11:00

 徐々に秋が深まり気温が下がるにつれ、HOT飲料が目立つようになってきた自動販売機。中でも秋冬を主戦場とし売上の約7割を自動販売機が占めるという缶コーヒーは、各メーカーが注力している分野であり、例年、様々な嗜好を凝らした商品が展開されブームとなっている。

 中でも、健康志向の高まりに後押しされ、広く食品・飲料市場に影響を与えたのが、カロリーや糖類などをカット若しくはオフにした商品のブームであろう。缶コーヒーに至っては、近時ではすでにブームと言えるようなものではなく定番商品として定着しており、新商品としてだけではなく、リニューアルして微糖商品を市場に投入している。

 サントリーは、「ボス レインボーマウンテン」や「ボス ブラック」「ボス カフェオレ」などの定番商品と共に、「ボス 贅沢微糖」をリニューアル。キリンビバレッジも「キリン ファイア」ブランドをリニューアルし、火力アップや仕上げ時間延長により、従来よりも更なる香ばしさとコクを実現した「新・直火仕上げ」を採用。その対象商品として「キリン ファイア ゴールド ~黄金比ロースト~」「キリン ファイア ブラック ~香ばし直火仕上げ~」「キリン ファイア ミスタースモーキー ~燻製珈琲~」といった定番商品と並んで「キリン ファイア 挽きたて微糖」もラインナップしている。

 またダイドードリンコは、深いコクと後キレを追求し、5ヵ国の豆を4段階の焙煎で焼き分けた20種類ブレンドや、香料を使わない製法など、こだわりのある缶コーヒー「ダイドーブレンド ブレンド微糖」を新発売し、新CMに俳優、役所広司を起用して積極的なプロモーションを実施。JTも更に香り高くリニューアルした、ルーツ「アロマレボリュート微糖」を発売するなど、各メーカーの缶コーヒー基幹ブランドにおいて、定番となっていない微糖商品はないと言えるほどである。

 オフィス用品・現場用品の通販アスクルの法人向け商品において、缶コーヒーの売上ランキング1位及び3位は微糖の商品であり、上位10商品の内、微糖・無糖ではない商品は3商品しかない。それだけ微糖商品が定着してきたということであろう。キリンビバレッジの調査によると、健康に気を使いだした40代以降の缶コーヒーユーザーの飲用本数が伸長しているという。これも、微糖商品の好調・定番化を後押ししていると言えるであろう。缶コーヒー市場は成熟し、拡大が期待出来ない。さらに、今後は消費増税などのネガティブな要素も控えている。伸長している分野をいかに拡大し、市場の縮小を避けるか。その為には、「定番」に留まらず「必需」といえる域にまで商品価値を高める必要があるのかもしれない。