NTTドコモ <9437> は2009年5月8日に、プッシュトーク機能を2010年9月30日に終了すると発表した。現在、対象となる端末は約2400万台。月間10万人程度の利用があるという。
この電話でもメールでもない音声通信サービス機能であるプッシュトークは、同社の対応機種同士であれば、電話番号で指定した相手に音声メッセージを送信できる機能のこと。お互いの声が常に聞こえる電話のような全二重通信ではなく、トランシーバーのように話すときと聞くときに端末の動作が切り替わる半二重通信となっている。音声は1回30秒まで、同時に4人まで送信でき自分を含めた最大5人で会話が行える。
料金も1回の発言ごとに5.25円。良く使うユーザー向けにプッシュトークが使い放題になる「カケ・ホーダイ」(月額1050円)、法人向けに最大20人、200グループまでの定額通話を提供する「プッシュトークプラス」(1回線2100円/月+管理料1万500円/月)も用意されている。これら「カケ・ホーダイ」と「プッシュトークプラス」については、2009年9月30日に新規加入の受付を終了する。
終了する理由についてNTTドコモでは、「ファミリー割引によるグループ内無料通話の提供、パケ・ホーダイ ダブル導入などによるコンシューマ市場の変化に伴い、経営資源を集中させるため」と説明している。
毎シーズン、新たな機能を搭載した機種を発表することで、他社との差別化を図っているモバイル業界。2005年11月に発表されたこのプッシュトーク機能は、テレビCMで人気アイドルグループが出演した影響もあり、大学生間を中心に若い世代に浸透していった。業界一の古株である同社は、他社からの猛追撃にあっていた当時、このプッシュトーク機能によって、新規加入者獲得競争から頭1つ抜け出した形になった。
一定の役割を全うし、終了を迎える感のあるプッシュトーク機能。激戦が続くモバイル業界で、プッシュトーク機能に変わりNTTドコモがどんな一手を新たに打つのか、今後に期待したい。(情報提供:エコノミックニュース 編集:宮園奈美)