ヤフーや楽天行えばその方向に 薬販売安全策

2009年04月20日 11:00

 インターネットなど通信販売で医薬品を販売できるのは副作用リスクの低い第3類医薬品のみとする、との省令に対し、僻地や離島などで薬局が近くにない人や遠方から通販で第1類や第2類の医薬品を購入している人たちが6月以降、通販では購入できなくなる事態にどう対応するのか、省令の見直しを含め検討を行っている厚生労働省医薬品新販売制度円滑施行に関する検討会の第4回会合が開かれ、検討会メンバーの三木谷浩史楽天代表取締役はネット販売での安全な販売環境を確立するための業界におけるルール(安全策)については「ヤフーや楽天が行えば(他のネットも)その方向に習っていく」として、対面販売と同程度の安全の担保確保に向けて、業界リーダーとして役割が果たせるとの見解を示した。

 また、大衆薬について「たくさんの種類があるが、伝統薬だけが通販で特別扱いされているような気がする。その伝統薬の定義がはっきりしない」と指摘。次回の検討会で、伝統薬の定義について、関係機関から提示されることになった。

 このほか、これまでの検討会で、通販で第1類や第2類の医薬品を購入している人たちが購入できなくなる事態を招くことについて、省令支持派や厚生労働省では「配置販売業での代替や家族等の購入代行で対応できる」との見解を示しているが、三木谷氏は「配置従事者は1施設あたり約2人。約3割の事業者が常勤者1名の状態であること」や「アンケート調査で事業者の約3分の2が取扱品目100未満で品揃えが不十分」であること、「医薬品取扱商品数は通販A社では約4000、B社では1400なのに、配置事業者は約50」「配置従事者が登録販売者試験に合格すれば取扱品目は拡大できるが、みなし登録販売者(販売品目が限られたまま)が一定割合残ると考えられ、実質的に代替は困難」と指摘した。

 さらに「配置販売業は訪問という形のため、多様な商品数を円滑に提供することは困難」「事業者の半数は得意先への訪問頻度が年間約2回以下であり、継続的に使用されやすい胃腸薬や便秘薬などは特に使用量が多く、すぐに使い切って補充が必要になる。購入希望に的確に対応するのは困難」などをあげ、得意先への回商頻度や訪問時に持ち運べる商品の限界、品揃え、登録販売者とそうでない販売者の混在など、配置薬業界で第1類、第2類を通販禁止とした場合のカバーはできないと強調した。

 直近の検討会でも、検討会メンバーの中から「離島などに住んでいる方から医薬品に対する情報提供や商品提供が求められた場合に配置業界で対応できるのか」との意見が提起され、これに高柳昌幸・全国配置家庭薬協会副会長は「法人は対応が早く、個人の場合は対応の仕方に差はあるが、電話での対応が多い。商品提供については、得意先に商品が足りなくなるような配置の仕方はしておらず、客にあった品揃えをしている」と答えた。