肥満でない体脂肪率30%未満の犬に比べ、体脂肪率35%以上の肥満犬は真菌性およびマラセチア性外耳道炎、膿皮症、跛行など疾病にかかるリスクが約2倍になることが花王の調べで分かった。
これは花王のペットケアプロジェクトが東京農工大学大学院共生科学技術研究院動物生命科学部門応用獣医学分野の林谷秀樹准教授と共同で多摩獣医臨床研究会所属の東北から鹿児島の22病院に来院した1歳以上の成犬4005頭について、獣医師による診察と体脂肪率測定を行って分かったもの。
4005頭のうち、健康な愛犬は2177頭、疾病を持っている愛犬は1828頭。疾病をもつ1828頭のうち外耳道炎と診断された割合は9・8%、膿皮症7・3%、アトピー性皮膚炎4・2%、アレルギー性皮膚炎3・9%、跛行2・9%。
調査は、疾病の発生に影響する他の因子として考えられる年齢、性別、犬種、不妊・去勢手術の有無を除外して解析するため、健康な愛犬と疾病をもった愛犬の中から、これらの因子をマッチさせた個体群を選択し、体脂肪率30%未満、30%から35%未満、35%以上の3つのグループに分け、肥満と疾病リスクの関係を調べた。
その結果、体脂肪率30%未満の愛犬に比べ、体脂肪率35%以上の肥満愛犬は、真菌性およびマラセチア性外耳道炎になるリスクが2・4倍、膿皮症は1・8倍、跛行は2・5倍と、疾病にかかるリスクが高まることが分かった。
また、真菌性およびマラセチア性外耳道炎と膿皮症は、皮膚感染症であることから肥満に伴う感染免疫系の低下が示唆され、肥満との関係が推測された。また跛行に関しては、肥満に伴う体重増加が関節への負担を大きくしていると考えられる。これらのことから運動や食事管理などにより肥満を予防することは愛犬の一般的疾病を防ぐために重要と考えられる、としている。