成長戦略第3弾もむなしく響き、為替も株価も4月初めの日銀異次元緩和前の水準に逆戻り
前週末5月31日のNYダウは208円安。シカゴ購買部協会景気指数やミシガン大学消費者信頼感指数が市場予測を上回り午前はプラスでも引けにかけて急落した原因は、東京市場と同じくMSCIインデックスの銘柄入れ替えに伴うリバランス売り。3日朝方の為替レートはドル円が100円台半ば、ユーロ円が130円台後半と円高が進行した。
日経平均始値は223.18円安の13551.36円で、一時は13300円台に下落するがおおむね13400円台を維持。11時台に13500円にタッチするなど前場は落ち着いた値動き。しかし後場は円高を背景に再び13300円台になり、2時台にはさらに13200円台まで落ちて、TOPIXは1100割れ。終値は512.72円安の13261.82円の安値引けで、TOPIXは-38.83の1096.95だった。今年3番目の下げ幅の日経平均は4月18日、TOPIXは4月5日以来の安値。売買高は40億株。売買代金は3兆286億円だった。
業種別騰落率は全業種マイナス。下落幅が小さかったのは電力・ガス、卸売、水産、医薬品、空運、石油・石炭など。大きかったのは証券、不動産、その他金融、銀行、パルプ・紙、保険などだった。
週明け3日のNYダウは138ドル高。5月のISM製造業景況指数は50割れで3年11ヵ月ぶりの低水準だったが、経済指標が悪ければ量的緩和縮小が遠のくという思惑で買い戻された。しかし為替には大幅なドル安をもたらし、ドル円は100円を割って一時98円台。4日朝方の為替レートはドル円は99円台半ば、ユーロ円は130円台前半だった。
日経平均は75.22円安の13186.60円と13200円を割り込んで始まる。反発しプラス圏、13300円台に浮上したかと思えば数分後にマイナス圏、13100円台まで下げるなど乱高下。午前10時前に13000円割れ寸前の13060円まで下げて折り返し、11時台に13300円台に乗せてようやく安定した。後場早々、日経平均は13400円台、TOPIXは1100台に定着。ドル円100円回復に向け円安が進むにつれて日経平均は午後2時台に13500円台に定着し、2時45分頃には13600円にもタッチ。最安値から最高値まで550円の上昇をみせる。終値は271.94円高の13533.76円。TOPIXも+28.52の1125.47と大幅高で終えた。大引け後にドル円は100円の大台を回復。売買高は51億株で7日ぶりの50億株台で、売買代金は3兆5613億円だった。
後場はまんべんなく買われ業種別騰落率マイナスは空運1業種のみ。プラス上位は証券、その他金融、銀行、不動産、鉄鋼、海運で、プラス下位は医薬品、石油・石炭、卸売、その他製品、繊維などだった。
4日のNYダウは76ドル安。日欧の株高の受けて高かったダウを急落させたのは、世界経済の下振れリスクを懸念した国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事の発言と、量的緩和縮小を支持するカンザスシティ連銀のジョージ総裁のスピーチ原稿の公表。5日朝方の為替レートはドル円100円前半、ユーロ円131円近辺で円安が少し進行していた。
日経平均は32.99円高の13566.75円で始まるがTOPIXはマイナス。13405円まで下げてからプラスまで戻し、その後は方向性が定まらずプラスとマイナスの間を行ったり来たり。だが後場開始と同時に安倍首相が成長戦略第3弾を披露する講演を始めると、いったん13711円まで上がるが、「新鮮味がない」「期待外れ」など市場からシビアな評価が続出。ドル円は100円を割って円高が進行し、日経平均株価は下落、下落、少し休んでまた下落。後場だけで700円も下げ13000円割れまであと11円。終値は518.89円安の13014.87円で今年3番目の下げを喫した。TOPIXは-35.44の1090.03。売買高は43億株、売買代金は3兆2727億円だった。
業種別騰落率プラスは空運1業種のみ。マイナス幅が小さかったのはサービス、鉱業、情報・通信、化学、卸売などで、大きかったのは電気・ガス、証券、その他金融、保険、不動産、電気機器などだった。
5日のNYダウは216ドル安で15000ドルの大台割れ。ADP雇用統計が市場予測を下回り7日発表の雇用統計への不安が高まる。6日朝方の為替レートはドル円が99円を割り込んで98円台後半、ユーロ円が129円台半ばで、前日からの円高傾向はなお続いていた。
日経平均始値は13000円を割り込む89.58円安の12925.29円で、一時は12900円も割り込む。その後は為替の円安に合わせて13000円を越え、続いて13100円台を回復し13200円にもタッチするが、前引け際に下落して13000円割れ。後場はプラス圏から12900円割れまで落ち込むが、午後2時台には13100円台に浮上。しかしプラスでは終われず、終値は110.85円安の12904.02円と、4月5日以来の13000円割れで引けた。TOPIXは-19.26の1070.77。売買高は43億株、売買代金は3兆2990億円だった。
全業種がマイナス。マイナス幅が小さいセクターは医薬品、保険、パルプ・紙、陸運、証券、ゴムなど。大きいセクターは機械、電気・ガス、金属製品、サービス、海運、倉庫などだった。
6日のNYダウは80ドル高。急激なドル安に襲われ116ドル安まで売られるが、為替の落ち着きとともにプラスに浮上し高値引けで3日ぶり反発。ドル円は一時、95円台をつけ、7日朝方の為替レートはドル円が97円台前半、ユーロ円が128円台後半と大幅な円高に見舞われた。
日経平均は197.61円安の12706.41円と大幅安でスタート。おおむね12700円台で踏ん張る展開だったが麻生太郎財務大臣が午前の閣議後、「介入するとか、直ちに何かというのはない」と言ったため、東京外為市場で円が買われドル円は午後1時15分には95.54円に。そのため後場、日経平均株価は12600円を割り込み12548円まで下げた。
もっとも、15分ほどでドル円が96円台に戻ったため日経平均も12800円台まで上昇。午後2時発表の4月の景気動向指数速報値が改善し、厚生労働省がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の中期計画変更について午後3時から説明するというニュース、ジョージ・ソロス氏が今週初めから再び円売り、日本株買いを再開したというニュースが入り、円安の追い風や198億円の「日銀砲」の援護射撃も受けて日経平均は凧のように舞い上がり、202円高の13106円まで上昇した。
だが、そこで風向きが円高方向に変わり、利益確定売りも入り、アメリカ雇用統計発表前の見送り気分もありあえなくマイナス圏まで下げる。終値は26.49円安の12877.53円で、TOPIXは-13.82の1056.95。売買高は43億株、売買代金は3兆3421億円だった。3日続落して今週の星取は1勝4敗と今年初の負け越しで、525円、837円、今週は897円と、週を追うごとに下落幅が大きくなっている。
値上がりセクターは不動産、電気・ガス、その他金融の3業種だけ。値下がりセクターで下落幅が小さかったのは証券、小売、精密機器などで、下落幅が大きかったのは鉄鋼、ゴム、石油・石炭、輸送用機器、海運、金属製品などだった。(編集担当:寺尾淳)