【日経平均】13000円割れ寸前から反発し13500円台回復

2013年06月04日 20:15

 週明けのNYダウは138ドル高。5月のISM製造業景況指数は50割れで3年11ヵ月ぶりの低水準だったが、例によって経済指標が悪ければ量的緩和縮小が遠のくという思惑で買い戻された。まるで学校の成績が悪いと親にほめられるような倒錯した状況はいつまで続くのか。しかし為替には大幅なドル安をもたらし、ドル円はついに100円を割って一時98円台。4日朝方の為替レートはドル円は99円台半ば、ユーロ円は130円台前半で、外部条件は悪化していた。
 
 日経平均は75.22円安の13186.60円と13200円を割り込んで始まる。値頃感で買いが入って反発しプラス圏、13300円台に浮上したかと思えば数分後にマイナス圏、13100円台まで下げるなど乱高下の症状が再発。日経平均先物は薄い板の間をポンポンと値が飛ぶ。午前10時前に13000円割れ寸前の13060円まで下げて折り返し、11時台に13300円台に乗せてようやく安定した。後場早々、日経平均は13400円台、TOPIXは1100台に定着。経団連の定時総会で安倍首相が挨拶した中身が好感され、ドル円100円回復に向けて円安が進むにつれて日経平均は午後2時台に13500円台に定着し、2時45分頃には13600円にもタッチ。最安値から最高値まで550円の上昇をみせる。前週5月29日は大引け5分前に突然急落したが、この日は波乱はなく終値は271.94円高の13533.76円。TOPIXも+28.52の1125.47と大幅高で終えた。大引け後にドル円は100円の大台を回復している。売買高は51億株で7日ぶりの50億株台で、売買代金は3兆5613億円だった。
 
 値上がり銘柄1194に対し値下がり銘柄は451もあったが、後場はまんべんなく買われたので業種別騰落率のマイナスは空運の1業種のみ。プラスの上位は証券、その他金融、銀行、不動産、鉄鋼、海運と前日の裏返しになり、プラスの下位は医薬品、石油・石炭、卸売、その他製品、繊維などだった。

 「日経平均寄与度御三家」の間に住友不動産<8830>がゲストで入って4銘柄で日経平均を55円押し上げ、上昇幅の20.5%を占めた。前日に売り込まれた不動産、銀行、証券株が買い戻され、不動産では住友不動産とともに三井不動産<8801>、三菱地所<8802>も3ケタ上昇で値を戻し、証券はSBIHD<8473>が265円高で値上がり率1位、大和証券G<8601>が91円高で値上がり率11位に入り、野村HD<8604>も55円高と大きく反発。その他金融もアイフル<8515>がストップ高の150円高で値上がり率3位、オリコ<8585>が42円高で値上がり率8位に入り、クレディセゾン<8253>も164円高と、どれも後場、活発に買われた。
 
 前場はドル円の100円割れで輸出関連主力株は揃ってマイナスに沈んだが、後場はプラスに浮上した。自動車のトヨタ<7203>は120円高で5日ぶりに反発し、マツダ<7261>は10円高、三菱自動車<7211>は9円高、富士重工<7270>は90円高、ホンダ<7260>は30円高まで上げた。日産<7201>はアメリカでの5月の新車販売台数が日本勢最大の前年比24.7%の伸びを示して29円高。電機もソニー<6758>が71円高と反発し、シャープ<6753>は28円高、白物家電生産の国内回帰を検討と報じられたパナソニック<6752>は18円高だった。新日鐵住金<5401>が12円高、神戸製鋼<5406>が5円高と鉄鋼株も後場に買い戻された。
 
 金価格の上昇で菱刈鉱山を持つ住友金属鉱山<5713>は前場から好調で55円高。出版取次3位の大阪屋を傘下におさめると報じられた楽天<4755>は45円高。真珠のTASAKI<7968>は前日に上半期業績予想の上方修正を発表し、80円高のストップ高比例配分で値上がり率2位に入った。
 
 この日は東京・北区の国有地と千葉県船橋市沖の東京湾で不発弾の爆破処理が行われ、陸上自衛隊、海上自衛隊の隊員が活躍し無事終了。そのせいか防衛関連株が買われ石川製作所<6208>が18円高で値上がり率4位、東京計器<7721>が22円高で年初来高値を更新して値上がり率12位に入り、豊和工業<6203>も前場買われて6円高だった。半導体用結線装置(ワイヤボンダ)の世界的メーカーの新川<6274>は、いちよし証券が投資判断を引き上げて100円高のストップ高比例配分で値上がり率6位。3Dプリンター関連のMUTOHHD<7999>は日刊工業新聞に今期の販売目標が前期の3.7倍と報じられ、年初来高値を更新し14円高になった。
 
 前日まで上昇が続いていた丸栄<8245>、群栄化学<4229>、極洋<1301>はそれぞれ値下がり率1~3位に入って急ブレーキがかかり、ニプロ<8086>も同様。決算内容がよかったピジョン<7956>、伊藤園<2593>は利益確定売りに押され下落した。
 
 この日の主役はメガバンク3行。みずほ<8411>が17円高、三菱UFJ<8306>が42円高、三井住友FG<8316>が345円高で、いずれも前日の下落分を取り返しおつりがきた。TOPIX寄与度1~3位に入り、合計で+5.681で上昇幅の20%を占めた。この日も売買高の1、5位、売買代金の3、4、5位を占めるなど商いは連日活発なので、メガバンクが元気になると相場が明るくなる。(編集担当:寺尾淳)