【日経平均】13000円を「甘利割れ」して終値12904円

2013年06月07日 00:44

 NYダウは216ドル安で15000ドルの大台割れ。ADP雇用統計が市場予測を下回り7日発表の雇用統計への不安感が高まる。地区連銀総裁の一連の発言で市場の心理も「雇用統計が足踏みしようと量的緩和は近いうちに縮小する」に変わってきた。6日朝方の為替レートはドル円が99円を割り込んで98円台後半、ユーロ円が129円台半ばで、前日からの円高傾向はなお続いていた。
 
日経平均始値は「甘利ライン」の13000円を割り込む89.58円安の12925.29円で、一時は12900円も割り込む。しかしその後は為替が円安に振れる動きに合わせて13000円を越え、続いて13100円台を回復し13200円にもタッチするが、前引け際に下落して13000円割れ。後場はプラス圏から12900円割れまで落ち込むが、午後2時台には13100円台に浮上してこのままプラスで終わるかと思いきや、またもやズルズル下落して終値は110.85円安の12904.02円と、4月5日以来の13000円割れで引けた。日中値幅は376円でボラティリティは相変わらず大きい。TOPIXは-19.26の1070.77。売買高は43億株、売買代金は3兆2990億円だった。
 
 値上がり銘柄は122しかなく全業種がマイナス。マイナス幅が小さいセクターは医薬品、保険、パルプ・紙、陸運、証券、ゴムなど。大きいセクターは機械、電気・ガス、金属製品、サービス、海運、倉庫などだった。
 
 激しい値動きの元凶は言わずと知れた460円安のファーストリテイリング<9983>で、ソフトバンク<9984>もプラスとマイナスの間を頻繁に出入りしたが、100円高のファナック<6954>はほとんどの時間はプラスで推移し後場には470円高まで上昇した。
 
 メガバンク3行はみずほ<8411>が4円安、三菱UFJ<8306>が7円安、三井住友FG<8316>が値動きなし。野村HD<8604>も7円安だったが大和証券G<8601>は8円高。トヨタ<7203>が90円安、ホンダ<7267>が35円安、富士重工<7270>が67円安、ソニー<6758>が39円安、シャープ<6753>が21円安など輸出関連の自動車、電機はトータルの下落幅が大きく東京電力<9501>も38円安で、TOPIXを押し下げていた。長期金利は前日よりも低下して終値は0.835%だったが東証REIT指数は下落し、不動産大手は三菱地所<8802>65円安、三井不動産<8801>26円安、住友不動産<8830>100円安と不振だった。
 
 中・小型株が売り込まれてテーマ株や材料系、低位株のおなじみの顔ぶれが値下がり率ランキングに追いやられ、値上がり率ランキングは大手有名企業が多かったのがこの日の特徴。3位のドン・キホーテ<7532>はマッコーリー・キャピタル証券が投資判断を引き上げて230円高、6位の損害保険大手のNKSJHD<8630>は88円高、7位の資生堂<4911>は毛髪再生医療への取り組みを材料に59円高、9位の情報セキュリティ関連のトレンドマイクロ<4704>は118円高。以下、11位にミツミ電機<6767>、12位にコニシ<4956>、14位に中外製薬<4519>、17位に東洋製罐GHD<5901>がランクインしていた。
 
 エーザイ<4523>が50円高、武田<4502>が35円高、塩野義製薬<4507>が30円高、アステラス製薬<4503>が10円高、テルモ<4543>が50円高と、医薬品、医療関係の主力株に値上がり銘柄が多かった。メリルリンチ証券が目標株価を引き上げた太陽誘電<6976>は29円高。株式分割を発表した国土強靱化関連の前田工繊<7821>は85円高。日本橋梁<5912>は今期最終利益を2.3倍に上方修正し2円高と続伸した。
 
 真空技術のアルバック<6728>は13年6月期の業績予想を3期連続最終赤字に下方修正して129円安と急落。リンナイ<5947>は最大6%規模の株式売り出しが嫌気され610円安。スミダ<6817>はドナウ川の洪水でドイツ・バイエルン州パッサウにある現地子会社のコイル工場の操業が停止し、その影響が懸念されて21円安になった。
 
 日経新聞に、文部科学省が大学入試センター試験を5年後をメドに廃止し、高校在学中に複数回受けられる全国統一試験「到達度テスト」(仮称)を大学入試に活用する検討を始めたという記事が出て、東京個別指導学院<4745>が5円高で値上がり率19位に入り、市進HD<4645>が8円高になるなど、学習塾や予備校の銘柄に買いが入った。センター試験が廃止されても勉強しないといい大学に受からないのに変わりないが、記事内容では浪人が不利になりそうで、高校生に「絶対現役合格」のプレッシャーがかかるか。
 
 この日の主役は半導体製造装置の東京エレクトロン<8035>。終値は185円高で値上がり率10位に入り、久しぶりに日経平均プラス寄与度1位になった。みずほ証券が2013年の半導体設備投資の予想額を10%増から15%増に引き上げたことが材料で、半導体検査装置のアドバンテスト<6857>も12円高と買われていた。(編集担当:寺尾淳)