北方領土問題 「学校の授業で知った」3割以下

2008年11月21日 11:00

 内閣府が行った北方領土問題に関する意識調査で、北方領土問題について聞いたことがあり、「その問題の内容を知っている」(39・2%)、「ある程度知っている」(40・0%)と答えた人は79・2%と5人に4人が認知していることが分かった。「分からない」(0・5%)や「聞いたことがない」(1・4%)という人は50人中1人だった。北方領土問題を何で知ったかでは89・1%がテレビ、ラジオで知ったといい、学校での授業で知ったという回答は29・6%にとどまっており、学校教育での充実の必要が浮き彫りになった。

 また、北方領土返還要求運動について、積極的に参加したい(2・0%)、機会があれば参加したい(32・5%)と34・5%が参加の意思を示す一方で、参加したくない(22・8%)、あまり参加したくない(36・6%)と参加しないという回答が59・4%と6割近くにのぼった。

 この調査は、北方領土に関する国民の意識を把握し、今後の施策に役立てたいと今年10月9日から19日にかけて、全国の20歳以上の男女3000人に聴き取り調査したもので、1826人から回答を得ている。

 それによると、北方領土返還要求運動については聞いたことがあるとの回答が87・5%あり、かなりの人が運動が行われていることを知っていた。そして、取り組みの内容も知っている(20・4%)、ある程度知っている(26・0%)という人が46・4%と半数近くになっていた。

 では、運動に参加したくない、あまり参加したくないという回答の人(59・4%)に、その理由をあげてもらうと、「時間や労力の負担が大きいから」が40・2%で最も多く、次いで「活動の内容がわからないから」が36・2%、「効果や必要性があると思わないから」が18・8%、関心がないからが16・5%と続いた。北方領土問題に対する情報の提供とともに、返還要求運動の内容を伝えるための広報活動の充実が求められそう。

 アンケートでは「若い世代の返還要求運動への参加促進策」についても意見を聴いており、そこでは、「北方領土問題に対する正しい理解と認識を持たせるための学校教育の充実」をあげる人が55・8%と最も多く、次いで「テレビ番組や新聞報道などの充実」(53・7%)「インターネットなどの若い世代向けの媒体を用いた広報・啓発の充実」(43・5%)をあげる人が多かった。

■ 北方領土問題についてのアンケート調査では、回答者に下記資料を提示して回答を受けたとしている。(以下)

 北方領土問題とはソ連/ロシアによる不法占拠が続いている我が国固有の領土である北方 四島(歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島)の我が国への返還を求めている問題です。 第二次世界大戦末期の昭和20年(1945年)、ソ連は当時有効であった日ソ中立条約を無視して対日参戦し、北方四島を占領。ロシアとなった現在もなお不法に占拠し続けています。

 北方領土問題の解決は,日本・ロシア両国間の最大の懸案事項です。政府は北方四島の帰属の問題を解決してロシアと平和条約を締結することにより、両国関係を完全に正常化するという方針のもと、強い意思を持ってロシア側との間で平和条約交渉を行っています。 また、外交交渉を支える国民世論の結集と高揚を図るため例えば返還を求める署名活動、パネル展、広報・啓発イベントや元島民の話を聞く会などが開催されるとともに、毎年2月7 日を「北方領土の日」とし、この日を中心に多彩な行事が行われるなど官民により様々な北方領土返還要求運動が取り組まれています。

 その一方、返還要求運動の中心となってきた元島民をはじめとする関係者が高齢化しており、今後、若い世代がこの運動に参加し、運動を継続していくことが期待されています。