海自 売却すべき銀電池9億8千万円分売却せず

2008年10月30日 11:00

 海上自衛隊が各地の部隊に供用している魚雷や魚雷用標的の推進動力などに電力を供給するために使用している銀電池の使用後の廃電池管理について、会計検査院は海上自衛隊補給本部長に対し、銀及び廃電池の保管状況を勘案した銀回収サイクルを十分に検討した上で、基本計画に定めた5か年分の官給所要量を超える廃電池については、全体保管数を対象とした処分計画を作成するとともに、売払契約の締結に至っていない事態に関する情報を収集し、これらの廃電池を速やかに売り払うよう是正処置を求めた。

 銀電池は使用後は廃電池から粗銀(純度95%以上)を回収し、この粗銀を精製したもの(純度99.99%以上を「精製銀」といい、粗銀及び精製銀を「銀」)を銀電池製作時の官給品として使用している。また、所要量を超えた廃電池については、売り払うことにより、資源の有効活用と銀の効率的な管理を図ることになっているが、海上自衛隊では基本計画に定めた5か年分の官給所要量を超えて廃電池を保管し、廃電池の売り払いが行われていなかった。

 同検査院は「国の資産の効率的な活用の面から適切とは認められず、是正を図る必要がある」とした。

 会計検査院の試算によると、売り払わなければならない廃電池3228個を価格換算すると約9億8060万円に相当する、という。同検査院は「このような事態が生じているのは、海上自衛隊本部において、銀及び廃電池の保管状況を勘案した銀回収サイクルを十分に検討しておらず、国の資産の効率的な活用を図るという認識が十分でなかったこと、また、廃電池の売払契約が締結に至っていないにもかかわらず、関係部署との売り払いに関する連携が十分でなかったことによると認められる」と指摘している。