中長期的な大学教育の在り方を検討へ 中教審

2008年09月19日 11:00

 少子化が進む一方で、社会人として社会で活躍しながら、深い専門性を持つために学びたいという人たちが増えつつある。こうした社会的背景を踏まえて、鈴木恒夫・文部科学大臣は中央教育審議会に対し、中長期的な大学教育の在り方について検討するよう諮問した。

 特に、検討する柱として(1)社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度とその教育のあり方はどうあるべきか(2)グローバル化の進展のなかでの大学教育の在り方は(3)人口減少期における大学の全体像について検討してほしい旨が伝えられた。

 鈴木大臣は「我が国の大学教育の質を保証し、社会からの信頼の向上を図るため、大学教育の将来を見据えた中長期的な在り方について、国際的・歴史的に確立されてきた大学制度の本質を踏まえつつ、(検討する柱3点の事項を中心に)逐次検討していく必要がある」として、諮問理由をあげている。

 その中で、大学への進学率は短大を含めると55・3%になっており、若年人口の過半数が高等教育を受ける状況になっている。教育の質を維持しながら社会や学生からのニーズに答えるには大学教育の在り方自体を見直すことが不可避であり、「国際的・歴史的に確立されてきた大学制度の本質、とりわけ、その団体性や自律性を踏まえつつ、一人ひとりの学生のニーズに応じた大学教育が提供され、その質保証がよりきめ細かく行われるよう学位プログラムを中心とする仕組みの導入の是非について、人的・物的環境の在り方を含め検討をお願いしたい」としている。

 また、「医療系人材等の社会的な要請の特に高い分野における教育課程の充実、教育活動の評価、社会との連携等、人材養成の在り方について」「質を保証する仕組みづくりで、学生の達成すべき学習成果の明確化について検討を深め、今後の設置認可、自己点検・評価、認証評価、分野別評価等を通じて大学教育の質保証システムをどう構築すべきか検討を」「社会人や留学生等の多様な背景を備えた学生への支援や大学院博士課程学生への教育の在り方や修了者への支援に関し、どのような方策が必要か」など、細部にわたって、検討課題が提起された。また、鈴木大臣は、課題が多岐にわたることから、課題ごとに審議の区切りがついた段階で、逐次、答申・報告を行うよう求めた。