NHK職員が株のインサイダー取引を行っていた問題で、久保田英明・日本放送協会職員の株式取引問題に関する第3者委員会は福地茂雄NHK会長に対し、「報道情報システムへのアクセス権を有する者や報道業務に携わる者については株取引を全面禁止とする」など10項目にわたる改善を5月28日までに提言した。
委員会はインサイダー取引が同時多発的に発生した直接的原因は(1)行為者らの倫理観、職業意識の欠如(プロ意識の欠如)(2)NHKにおけるインサイダー取引に対するリスク管理のなさ(3)報道情報システムの不備や運用規律の弛緩であると指摘するとともに、組織上の問題として(1)職業倫理を確保する体制を欠いた報道部門の弱体化(2)相次ぐ不祥事に事後的対応に終始し、新しいリスクへの対応という視点を欠いたコンプライアンス施策による現場の疲弊(3)統一的、包括的な情報セキュリティ・システムの不在などをあげた。
こうした問題点を踏まえ、委員会は10点にわたり、実行を求めた。以下はその内容。
(1) プロのジャーナリスト、報道機関とは何か、公共放送の使命の議論を組織内で活発に行う。
(2) NHKの使命実現への意識改革をめざすコンプライアンス施策と研修を実施する。
(3) リスク管理としてコンプライアンス施策を明確に位置づける。
(4) 関連団体も一体として、懲戒制度の厳格かつ柔軟で実効性ある運用を確保する。
(5) 縦割り組織を改編・変革する。
(6) インサイダー取引を禁止する規定の制定と研修を実現する。
(7) 報道情報システムへのアクセス権を有する者や報道業務に携わる者については株取引を全面禁止とする。
(8) 職務に関連して知り得た情報の目的外利用の禁止、就業時間中の株取引を禁止する。
(9) 報道情報システムの管理システムを改善し、運用基準を厳格化する。
(10)NHKは再生に対する国民によるモニタリングを得るために定期的・継続的に検証番組を作成する。