違法伐採 マホガニーなどは絶滅圧力にも

2008年05月21日 11:00

 財団法人・地球・人間環境フォーラムは環境省の委託を受け、違法伐採が森林減少に与える影響や森林減少が生物多様性及び気候変動に与える影響について調査し、このほど報告書にとりまとめた。概要は5月21日、22日に東京都内のJICA地球ひろば(渋谷区広尾4-2-24)で同財団などが主催して開く国際市民フォーラム『気候変動対策としてのバイオ燃料・森林減少防止、需要国としての役割と責任』の席で報告される。

 報告書は(1)中国、ロシア、熱帯諸国の木材生産の20%から90%が違法伐採によるものであると推定(OECD、2006)されていることや(2)伐採のみならず流通、輸出に至る様々な局面で違法行為が行われ、政府組織の汚職・腐敗と密接な関係があること(3)その発生要因としての経済的な動機を政治的・体制的な脆弱性が許容していること(4)違法伐採により劣化した森林は農地転用され、また、森林火災のリスクを高め、結果的に森林減少がもたらされていること(5)森林減少により生物多様性の損失が生じていること(6)温室効果ガスの排出により気候変動へ甚大な影響をもたらしていることなどを明らかにしている。

 また「違法伐採はそれ自体が直接、森林の樹種構成に影響を与え、森林の生物多様性の減少を引き起こす」と指摘。「高級樹種などの特定樹種を違法伐採のターゲットにする場合はこれが顕著で、ターゲットとなる樹木がラミン、メルバウ、ウリン、マホガニーなどの希少樹種である場合は、これらの樹種の絶滅圧力にもなりかねない」と警告している。

 環境省では「報告書を踏まえ、引き続き違法伐採対策の重要性を、G8環境大臣会合をはじめ国内外に発信し、合法性が証明された木材調達を促進していく」としている。