法科大学院の教育の質を高めよ

2013年06月23日 18:32

 法科大学院や司法修習等のあり方について議論している政府の「法曹養成制度検討会議」が19日、最終提言の取りまとめ案を公表した。

 案では、これまで掲げてきた司法試験の年間合格者数3,000人程度の数値目標を「現実性を欠く」と指摘。また、批判の多い受験回数制限については、現行の法科大学院修了後「5年間に3回まで」から「5年以内に5回まで」受験できるよう緩和するべきとした。

 多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるための法学未修者コースは、合格率の低迷が法学部以外の学部出身者や社会人受験生の減少を招いているとし、「共通到達度確認試験(仮称)」を早期に導入するように求めている。

 こうした具体的な提言がある一方、今後の法曹人口、法科大学院、司法試験のあり方については、検討課題として指摘するにとどまり、今後、速やかに新たな検討体制を設置すべきと、問題の解決を先送りしたものも多い。

 検討会議は、2012年8月21日、前野田内閣において閣議決定によって設置された法曹養成制度関係閣僚会議の下に設けられたものである。13年8月2日をタイムリミットして、閣僚会議は検討会議の提言を踏まえて結論を出すことになっている。

 1999年から取り組まれた司法制度改革では、法曹人口の大幅な増加を図ることが緊急の課題であるとして、2010年には司法試験合格者を年間3,000人程度とする数値目標を定めた。その結果、13年には法曹人口は3万8,416人と、10年間で1万6,552人も増加。弁護士がまったくいない地域はなくなった。

 しかし、その副作用は小さくない。かつては考えられなかった弁護士の就職難を生み出した。せっかく弁護士登録しても法律事務所に就職できないため、ここ数年、司法修習終了者の弁護士未登録者数が増加傾向にある。それも司法試験合格者数が3,000人合格という目標値に対して、2010年以降、2,000人から2,100人程度にとどまっていての話である。

 その一方で、法科大学院制度を導入する当初、掲げられていた修了者の合格率の努力目標「約7割~8割」は低迷し、12年では25.1%に過ぎない。この平均合格率を上回ったのは全74校のうち、わずか14校。合格率トップの一橋大学法科大学院ですら57.0%と目標値には及ばず、姫路獨協大学法科大学院のように合格者がまったくでなかったところもある。

 この状況は法科大学院志願者の減少を招き、定員割れとなるところが続出している。13年の志願者数は16年のピーク7万2,800人に対して1万8,446まで減少。学生を募集した69校のうち、何と9割を超える64校が定員割れとなっている。今月17日には、島根大学法科大学院が入学募集を停止することを発表したが、こうした法科大学院はすでに8校を数える。

 合格率低迷の原因は法科大学院の教育の質の低さにあることは明らかであろう。経済的事情などで法科大学院に通えない人のために10年からスタートした「例外ルート」である予備試験の合格者は68.2%と、ほぼ7割で本来、法科大学院が果たすべき努力目標に迫る。特に受験資格がない予備試験は、10年の志願者数8,971人から11年には9,118に増加した。

 予備試験の受験者は、まず例外なく、かつての司法試験で実績のある予備校が開講する対策講座を受けている。また、法科大学院に通う学生がダブルスクールで通学するケースも珍しくない。今回、法曹養成制度検討会議が法科大学院改革について、踏み込んだ提案をしなかったことは残念である。予備試験が本流になりつつある現状を見ると、法科大学院の教育の質を向上させない限り、法曹養成の専門職大学院としての存在意義が無になることは間違いないだろう。(編集担当:坪義生)