小学6年間、君が代指導など小・中の学習指導要領案に国民意見募る

2008年02月22日 11:00

 文部科学省は幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の改訂案を公表し、3月16日まで、国民からの意見を募っている。
 40年ぶりに主要教科の内容が見直され、小学校では「総合的な学習」が減らされる一方、国語、算数、理科、社会という主要科目と体育については授業時間が増加した。また、5年、6年では外国語活動(英語)の時間を学年毎に35単位(1単位45分)づつ設け、外国語の音声や基礎的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養わせるとしている。特に、小学校低学年(1、2年生)では算数と国語の授業時間が大幅に増えた。算数は2年間で42単位。国語は69単位増えている。
 また中学でも国語、社会、数学、理科、保健体育、外国語の時間を増やした。
 新学習指導要領では小学校、中学校教育を通じて「生きる力を育む」としており、基礎的知識を習得させ、知識を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うとしている。
 また、安倍前総理が目指した「国を愛するこころ、美しい国づくり」思想を反映させた教育基本法に基づき、小学校「社会」(3・4年)で「我が国や外国に国旗があることを理解させ、尊重する態度を育てるよう配慮する」ことを定めているほか、5年の社会では「歴史に関する学習とも関連を図りながら、天皇について、理解と敬愛の念を深めるようにすること」が謳われている。音楽においても、指導計画の作成の上で「国歌・君が代は(1年から6年まで)いずれの学年でも指導すること」としており、教師が子供たちにどのように教授していくのか、国歌斉唱や国旗の掲揚、国民の象徴としての「天皇」への理解、教育は教育現場でも、指導のあり方をめぐり論じられてきただけに、今後の現場での課題になっていきそうだ。
 また、道徳教育は校長の下に「道徳教育推進教師」を置き、この教師を中心に全教師が協力して「道徳性の育成を行う」としている。小学校では「低学年に対しては、人間として、してはならないことをしないこと。中学年では、集団での決まりや社会の決まりを、高学年では、規範の意義を理解させる」。中学校では主体的に社会への参画を促がし、国際社会に生きる日本人として自覚を身に付けさせるように育成していく」としている。
 文部科学省では3月16日までパブリックコメントを求め、3月下旬には官報に告示、幼稚園教育要領は平成21年4月1日から、小学校、中学校においての学習指導要領については先行実施できるものから実施することとし、理科と算数・数学の時間増については平成20年4月1日から導入することにしている。学習指導要領の全面実施は小学校については平成23年4月1日から、中学校については平成24年4月1日からになる。
 指導要領の内容は同省ホームページに掲載されており、コメント応募もホームページからメールで受け付けている。郵送の場合は〒100-8985 千代田区霞ヶ関3-2-2 文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室まで。ファックスは03・6734・3734