三菱ガス化学が「コエンザイムQ10」事業から撤退

2012年10月04日 11:00

 三菱ガス化学が、医薬品や健康食品原料である補酵素「コエンザイムQ10」事業から撤退すると発表。個々の顧客に対する供給は個別に調整し、製造に関しては2013年3月末までに終了する予定だという。

 三菱ガス化学は、1980年に販売を開始して以来、規格純度99%以上という世界最高の水準を誇るコエンザイムQ10を軸に、水分散性や持続性・高吸収性などの製品を展開。年間70トンを生産し、長年にわたり同社の天然ガス系化学品事業の主力の1つとなっていた。

 こうした中、三菱ガス化学は不採算事業の再構築を基本方針の1つとして掲げる中期経営計画「MGC Will2014」を2012年度からスタート。その一環として、海外メーカーの参入や同社を含む国内メーカーの増設による供給過剰などのため不採算が続いており、今後の採算改善が見込めないことから、コエンザイムQ10事業の撤退を決定したという。

 うっ血性心不全の改善薬として認可され製造が始まったコエンザイムQ10は、日本が初めて量産化に成功し、2001年にサプリメントとしての利用が開始。以来、数あるサプリメントの中でも最も認知度や人気の高い成分の一つとなっている。その市場拡大の一翼を担ってきたと言える三菱ガス化学が撤退することは、少なからず市場に影響を与えるのではないだろうか。グルコサミンやプラセンタなども、市場が飽和しつつある成分である。今後、他の成分に関しても事業戦略の転換を図るメーカーが増えるのかもしれない。