投票は1つ下の世代に対するプレゼント

2013年07月21日 17:48

 東北大学大学院経済学研究科の吉田 浩教授と経済学部加齢経済ゼミナール所属の学生らの分析により、若年世代(20歳から49歳まで)の投票率が低下するにしたがい、将来の国民負担となる国の借金が増加し、社会保障支出も若年世代よりも高齢世代(50歳以上)に多く配分され、若年世代に不利となっていたという関係が確認された。また、この分析結果を用いて計算すると、選挙棄権により若年世代の投票率が1パーセント低下すれば、若年世代1人当たり年間およそ13万5千円分の損失になるという。

 一体なぜこのようなことが起こるのか。高齢化社会とはいえ、高齢者にのみ優しく、20代、30代にとって厳しい社会であっては、意味がない。しかしながら、選挙でなんとしてでも票を得たい候補者や、有権者の支持を得たい議員からすれば、投票率の低い20代、30代にとってやさしい国を作るより、投票率の高い60代にとって有利な政策を打ち出したほうが、票を得やすくなる。高齢世代向けの給付が、老齢年金、高齢者医療、介護保険とさまざまな形であるのに対し、子育て世代にとっては、わずかな金額の児童手当や公的医療保険がある程度。また、若年世代の未婚者にいたっては、税金を納めるばかりで、国や自治体との関わりを実感できるような機会も少ない。選挙によって生活が変わるという実感に乏しい若年世代にとって、投票する価値というものは感じられにくいと考えられる。しかしながら、若年世代の投票率が1パーセント低下することにより、年間およそ13万5千円分が自分たちの損になると思えば、少し意識が変わってくるであろう。

 若年世代の未婚者にとって、今の社会は暮らしやすいものなのだろうか。2014年には消費税が8パーセントになると言われている。税率引上げによる増収分のうち約1パーセントが子ども・子育て支援に充てられ、その他は社会保障の安定化に使われる予定であるが、若年世代にとって、即座にプラスになるようなものでもない。これからますます生涯未婚率が上がるといわれている、この時代。投票は、今の時代に自分たちの意見を反映するだけではなく、今はまだ投票権のない、ひとつ下の世代のためのプレゼントでもあるかと考える。若年世代の投票率を上げることで、自分たちをアピールし、高齢世代ばかりに目を向けている候補者や議員の注意を引くことも大切ではないだろうか。(編集担当:中村小麦)