カネボウと東京電力にみる日本の隠蔽体質 どうすればよいか

2013年08月04日 17:22

 カネボウの美白効果が謳われている化粧品を使用すると、肌がまだらに白くなる問題は多方面に影響と疑問を与えている。カネボウは7月4日に、その美白化粧品の自主回収を決定したが、「まだらに白くなる」症状が顕著に出た利用者が7月28日までに4061人に上ったと発表した。まだら症状の問い合わせをしてきた人は7月28日までに8631人。また問い合わせは203,777件あったという。

 被害は国内のみならず、台湾では130人が同様の症状が出ているとして、カネボウ化粧品との関連があるかどうかを医療機関で調査している。また、フィリピンや香港では販売中止の措置がとられている。

 今回問題になっている美白有効成分は、「ロドデアール」というカネボウが独自に開発したもの。2008年に厚生労働省から認可を得て、4月までに440万個を出荷している。上述したように海外でも販売されている。

 記者会見で夏坂真澄社長は「2年前から相談があったが、(化粧品が原因ではなく)利用者の病気と判断し把握が遅れた」と説明している。全国の消費生活センターなどにも、昨年5月から被害報告があったという。そして、5月には皮膚科医からの報告で同社が調査したところ、同じ症状が多数判明した。それから2ヶ月を経てようやくカネボウはこの問題を公表した。どうしてここまで公表が遅れたのか。消費者庁の阿南久長官も記者会見で、「もっと早く公表すべきだった」と対応の遅れを指摘している。社長は「病気と判断し」と話しているが、どうしてそう判断したのかの理由が示されていない。皮膚科医の報告から公表までに2ヶ月かかっていることもあまりに不自然である。これはやはり「できるものなら隠蔽したい」という気持ちが同社に働いていたと考えるのが自然だろう。

 隠蔽体質がこの国には蔓延している。最近でいえば、東京電力<9501>が汚染水を海に流していた問題も7月18日の段階で流出を裏付けるデータを本店が把握してから、公表まで4日を要している。その内の2日間は、公表資料を作成していたという。どうして2日もかかるのか。いろんな部署の印鑑が必要だったのだろうか? 謎である。アメリカやヨーロッパの企業なら遅くとも24時以内には公表しているはずだ。しかも東京電力が最初に海側の井戸から放射性物質を検出したのは5月下旬。その後も、地下水や海洋の放射性物質濃度が上昇し続けたのに、公表までやはり2ヶ月を要している。

 隠蔽をすることによって、より事態が深刻になるということがなぜわからないのだろうか。カネボウの社長は「(被害者数が)これほどの数字になったことに驚いている」と述べているが、何をいわんやである。そもそも2年前にきちんと調査していれば、「これほど」の数にはならなったのだ。また、こんなカネボウの体たらくから、親会社の花王の株価へも影響が出ている。

 ともあれ、企業は「隠蔽体質」を持っていると、トラブルが生じた時の事態はより深刻になると肝に命じておくべきである。(編集担当:久保田雄城)