パナソニック<6752>が2013年中に、自動車用のリチウムイオン電池の増産投資を行うことが分かった。関係者の話によれば、投資増額は200億円以上になるとみられ、それらは大阪や兵庫などの3つの工場の生産設備に充てられる。
アメリカの「テラスモーターズ」の電気自動車に供給している小型リチウムイオン電池の出荷量が増えており、大阪の住之江工場のラインを増設するほか、今年の3月に生産中止となっていた、同じく大阪の貝塚工場のラインも、14年に再稼働させる予定。
さらに兵庫の加西工場のラインも、これまでの3ラインに加えてさらに1ライン増設される予定で、この工場ではトヨタ自動車<7203>、アメリカの「フォード・モーター」 、ドイツの「フォルクスワーゲン」などに大型リチウムイオン電池を供給している。加西工場でのライン増設は今月内に完了し、来年の春には稼働が開始される予定だ。
今期のパナソニックの設備投資計画は2050億円で(前年同期は3109億円)。純有利子負債削減のために、全体的な投資額は抑えているものの、パナソニックの河井英明常務によれば、「必要と思われる設備投資は、厳選した上で行っていく」との方針で、今期の設備投資はリチウムイオン電池の分野において集中的に行われる模様。
パナソニックの小型リチウムイオン電池の事業部と、自動車用の大型リチウムイオン電池を手掛ける事業部は、12年度には赤字を計上したものの、今期は共に黒字化になることが予想されている。小型リチウムイオン電池は、パソコン用の需要が落ち込んでいるものの、アメリカの「テスラモーターズ」の電気自動車「モデルS」に向けた出荷が増え、また携帯電話の基地局のためのバックアップ電源のための需要も拡大している。
自動車用の大型リチウムイオン電池は、パナソニックの山田喜彦専務によれば、「現在までに結んでいる自動車メーカーとの契約により、15年度まで着実に伸びることが予想される」とのこと。来春から稼働される徳島工場と加西工場の5ラインによって、生産が行われる予定だ。(編集担当:滝川幸平)