ANA<9202>は、2014年度入社以降の客室乗務員を契約社員(スカイサービスアテンダント)採用から正社員採用に変更する。
スカイサービスアテンダント制度は1995年に導入され現在に至っているが、同社によるとグローバル競争の激化、雇用を取り巻く社会環境の変化、今後の同社事業展開を見据えて、今回、スカイサービスアテンダント制度を廃止するとしている。
このスカイサービスアテンダント制度とは、初めは1年更新の契約社員としての採用で、3年が経過した時点で本人が希望すれば原則として正社員になれるシステムだった。
同社は、採用形態の変更により、従来以上に多様な人材を採用していくとともに、より安定的に長く働ける環境や制度を整え、フルサービスキャリアとしてのANAブランドを牽引する人材を早期に育成していくという。
国内航空業界は、LCC(格安航空会社)の台頭で、競争が激化している。
LCCは、既存の航空会社に対抗するために徹底的なコストカットが武器である。例えば、就航路線を特定区間に絞り込んだり、使用機種を統一したりしている。また大都市周辺の使用料の安い2次的空港の発着に限定したり、機内食などのサービスの廃止、細分化した荷物の有料設定を行っている。それに加え代理店を通さずインターネットなどを利用した航空券のダイレクト販売や契約社員の活用などによる人件費削減を図って、格安運賃を可能にしているのだ。今回のANAの動きは、そんなLCCに対抗する為のものであることは明白である。
ただし、気になるところもある。今回の正社員採用への変更だが、有給休暇が、契約社員時に10日から20日へと倍増したり、休職制度も充実するというが、平均年間給与は据え置きになるという。これで、客室乗務員のモチベーションは上がるのだろうか。もっともこのご時世、「初めから正社員で採用される」ということこそが、最大のモチベーションを上げる要因なのかもしれないが。ともあれ、非正規雇用から正規雇用へという変化は喜ばしいことである。(編集担当:久保田雄城)