どんな形にせよ自動車事故というのは、嫌なものだが、「前面衝突」というのは、その中でも想像しただけでも恐ろしくなる事故パターンだ。
富士重工<7270>は、「EyeSight」を装着したスバル レガシィ、アウトバックが、IIHS(Insurance Institute for Highway Safety: 米国保険業界の非営利団体)が中型乗用車・SUV向けに初めて実施した前面衝突予防性能を評価する新試験プログラムおいて、最高評価の「superior」を獲得したと発表した。
他に「superior」評価を獲得したのは、GM(ゼネラルモーターズ)のセダン「キャデラックATS」SUV「キャデラックSRX」、メルセデス・ベンツのセダン「Cクラス」、ボルボのセダン「S60」とSUV「XC60」。その中で、レガシィとアウトバックは唯一最高となる6ポイントを獲得した。
「EyeSight」は、世界で初めてステレオカメラだけで、歩行者、自転車をも対象としたプリクラッシュセーフティ機能や全車速追従クルーズコントロール機能を実現したシステムで2008年5月に日本で発売されている。
今回のIIHSによる評価では、自動ブレーキによって車両を減速・停止させ、前面衝突の回避または衝突被害の軽減を図る「EyeSight」の「プリクラッシュブレーキ」の性能が高く評価されたとしている。
IIHSは新試験プログラムにおいて、前面衝突予防システムをオプションまたは標準装備する車種について、自動ブレーキ機能の有無や同機能の検証試験により、衝突回避性能を「superior」、「advanced」、「basic」の三段階で評価する。
試験では、自動車の後部を模し、かつ静止したターゲットに向けてエンジニアが車両を走らせ(試験速度: 時速約20キロと約40キロ)、自動ブレーキによる減速性能を検証する。
協会基準の最高評価である「superior」の認定を受けるには、自動ブレーキ試験で4から5ポイントを獲得し、前面衝突警報付車両への1ポイントの加算を含め、総合5ポイント以上(最高6ポイント)の獲得が必要となっている。
最高評価の「superior」の次点「advanced」には、8モデルが選出されているが、そのうちの日本車は、アキュラ(ホンダ<7267>)、レクサス(トヨタ<7203>)、マツダ<7261>。他にはアウディが2モデル、ジープ(クライスラー)、ボルボが2モデル選ばれている。「superior」と「advanced」全15モデルの内、実に4モデルがボルボである。スバルはもちろん素晴らしいが、ボルボもすごい。近年のボルボはエクステリアデザインなどで他メーカーとの区別が付きにくくなっており、個性が薄れているが、こと「安全性」については未だに世界最高峰のメーカーの一つであることが実証されたわけである。(編集担当:久保田雄城)