JMR生活総合研究所によると、2011年は震災により資材や包材不足にも関わらず、前年比約1%増と堅調さを維持した缶コーヒー。また、フレーバーティーの多様化や飲用シーンの増加などにより数年前から拡大している紅茶飲料市場。これらの2つの市場については、コーヒー飲料が清涼飲料全体の4分の1を占める巨大市場でもあるため、すでに秋冬に向けたリニューアルや新商品の投入が相次いでいる。一方、同じ嗜好飲料に分類されるココア飲料を巡る動向はどうか。
2010年より世界が認めるココアブランド「バンホーテンココア」の展開を開始したアサヒ飲料は、「バンホーテンミルクココア PET280ml」「バンホーテンミルクココア 缶280g」「バンホーテン白いココア PET280ml」に対し、ココアパウダー増量やミルクとのベストバランスを図るリニューアルを実施。併せてパッケージのリニューアルも行っている。また雪印メグミルクは、「MEGMILK FARM LATTE ミルクたっぷり ココアラテ」を9月25日から発売。この新商品はココアを主眼とした製品ではなく、生乳をたっぷり50%使用したミルクが主役となっている。
秋冬は、缶コーヒー等と共にココアのシーズンでもある。しかし現在のところ、ココアを巡る主だった動向は上記の2社によるものぐらい。かつては健康ブームに乗って市場が成長し、1996年には246億円にまで拡大したココア飲料市場であるが、今となっては2009年で175億円、2010年は再度成長に転じたものの180億円と低迷が続いている。コーヒーや紅茶と比較して圧倒的にバリエーションがつけ辛く、市場が成長するための材料に乏しい。森永製菓が2005年、ココアにインフルエンザウイルスの感染を阻害する効果があることを確認したと発表するなど、時折市場拡大のチャンスは訪れるものの一過性のブームに終わり、それも爆発的な成長には繋がっていない。ココア飲料市場はこのまま、メーカー側の仕掛けもなく、コーヒー飲料や紅茶飲料の勢いに押されて市場縮小を続けるのであろうか。