領土問題 国内政治に利用は「禁じ手」

2012年09月12日 11:00

 韓国の有力紙・朝鮮日報は韓国大統領府の朴正河(パク・チョンハ)報道官の話として、11日の社説で「李明博(イ・ミョンバク)大統領と野田佳彦首相は9日に対話を交わし、韓日関係を未来志向的に発展させるため、両国が協力していくことで一致したことを明らかにした」と報じるとともに、米国のクリントン国務長官が両国首脳に別々に会い「(韓国と日本は)領土問題での緊張を緩和する必要があると述べたという」と日韓関係を未来志向的に発展させるとした両国首脳の判断がアメリカの意向にも沿うものだとした。

 一方で、「日本の政権政党である民主党と政権の奪還を目指す自民党の総裁選を前に、双方とも民族主義をあおりながら韓日両国の関係を国交正常化以来最悪の状況に追いやってしまった」とし「韓国、中国、日本の3カ国が中心となる東アジアにおいて、韓国と日本がこのように激しく対立してしまうと、中国にとって選択の余地と活動空間が相対的に広がってくる。つまり日本が最も警戒する状況を日本が自ら招いてしまった。政党による政治活動によって、日本の国益が失われたといっても過言ではない」と日本の2大政党の権力争いが国益を自ら損なわせたと指摘した。

 そのうえで「国家間の領土問題や歴史問題は双方の国民感情を刺激して民族主義に火を付けるため、外交の手段としては非常に危険なものであり、時には統制不可能な状況になることもある。そのため成熟した政治指導者は領土問題や歴史問題では短期的な対応と長期的な方向性を並行して駆使する。つまりこれらのデリケートな問題を国内政治に利用するのは禁じ手なのだ」とした。

 韓国慰安婦問題で日本との交渉のきっかけをつくるために竹島に上陸した韓国・李明博大統領の行動にも、禁じ手を使ってしまったきらいがある。

 今回の同社社説は「日本は今回の問題を通じ、歴史問題の扉が開け放たれた場合に取り返しがつかないほど問題が大きくなることを改めて確認したはず」とし「韓国も日本を相手にする場合、文化的特性をしっかり把握し『はりと灸』あるいは『アメとムチ』をうまく活用しなければならない」とした。基本的に日本から韓国にもいえることだ。(編集担当:森高龍二)