第43回東京モーターショーのフォルクスワーゲン(VW)ブースでブルーメタリックのボディ色で注目を集めていたのが、VWゴルフの“リアルスポーツ”モデルを名乗る「R」だ。かつて、昭和の昔、「羊の皮を被った“狼”」という懐かしい詞が粋な日本のエンスージアスト達のなかにあったが、まさにこの「ゴルフR」に相応しい修飾語といえる。
以前にもレポートをお届けしたが、このゴルフRは欧州製(特に独製のあの)スポーツカーを追い回せるほどの能力を持った一台だ。2014年中に日本で発売される。今回展示された車両は欧州仕様の左ハンドル4ドア、DSG(2ペダル)を組み合わせたモデルだった。GTIを超える、スポーツ・ゴルフである。
2014年に日本上陸予定の新型ゴルフRは、先代に比べてパワーアップし燃費性能を上げた新開発の2リッターTSIエンジンを搭載。アウトプットは300ps(221kW)を絞り出す。過去3世代のゴルフR同じようにターボエンジンの強大なトルクをフルタイム4WDシステムによって4輪で路面に伝える。
4WDシステムの基本は、VW製の5世代目のハルデックスカプリングを採用した最新4MOTIONシステム。
6速DSGトランスミッションを搭載した新型ゴルフRは0-100km/h加速をわずか4.9秒で完了する。最高速はリミッターで250km/hに制限されているが、卓越した300psというパワー&運動性能にもかかわらず、ヨーロッパの複合走行モードでの燃料消費は100km走行で6.9リッターに抑えられているという。日本式に表現すると14.5km/リッターとなる。
加えて、新しく設計したスポーツサスペンション(車高20mmダウン)、新開発のプログレッシブステアリング、ゴルフR専用のESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール:横滑り防止装置)スポーツプログラムが高い運動性能を生み出す。ただし、このESCは、レーストラックなどでは完全にカットオフすることもできるようになった。このため、ドライバーの力量に応じた設定が可能となる。あくまで「ドライバーに力量があれば!」の選択肢である。
ゴルフR、ESCをカットオフした瞬間「羊は“狼”に変身する」のだ。注意して運転されたし。(編集担当:吉田恒)